音楽教師

現代では子どもから大人まで多くの人々が音楽に親しみ、豊かな心を育てています。鑑賞だけでなく、演奏、歌唱など、音楽を実際に奏で、その喜びを感じることは、人々の共通の楽しみとして定着しました。

音楽教師は、音楽に関する技術、知識をさまざまな世代に教示し、その楽しさを伝えていく仕事です。対象は小さな子どもたちから、プロの演奏家まで多岐にわたります。

一口に音楽教師といっても、音楽教室講師のような民間の教師から、学校教育での音楽の先生までさまざまです。ここでは、音楽教室講師の仕事にも触れつつ、主に学校に勤務する音楽教師の仕事内容や就職方法について解説します。

音楽教師の仕事

音楽教師のなかでも、民間の音楽教室の講師は、主に2種類の働き方があります。一つは、音楽教室と契約し、楽器や歌などの講師として指導を行なっていく方法。もう一つは自身で音楽教室などを開講し、音楽を教えていくフリーランスとしての働き方です。

いずれの場合も生徒は子どもから大人、初心者からプロまで幅広く、それぞれに要求される講師の技術も異なります。教室の告知や生徒の募集などにも工夫を凝らす必要があり、最近ではオンラインでの指導も広がりを見せています。

一方、学校教育における音楽教師の仕事は音楽に限らず、学校生活全般にわたります。音楽の授業での専門的なスキルに加え、児童・生徒の集団生活や、学校行事、部活動、進路指導など多くの分野への指導技術が要求されます。またクラス担任などを務めれば、当然ながら学級の管理や生徒指導なども仕事の対象となります。

小学校・中学校では音楽の授業は必修科目です。一クラスにつき、毎週1〜2時間程度、音楽の授業が設けられています。

小学校1、2年生の低学年は担任の先生が授業を行ないますが、3年生以上は音楽教師が音楽の授業を担当します。音楽の知識や合唱などの歌唱力、鍵盤ハーモニカやリコーダー、鼓笛隊の演奏スキルなど、幅広い技術が必要となります。

授業だけでなくクラブ活動や部活、合唱コンクールなどの指導、校歌の指導や、全校集会、各種式典でのピアノ伴奏など、活躍の場は多岐にわたります。

高校では音楽の授業は選択制になります。美術や書道などの芸術科目の一つとして、音楽を選択した生徒たちへ授業を行ないます。

高校でも音楽教師の指導範囲は幅広く、部活動の種類も合唱部、管弦楽部、吹奏楽部、軽音楽部などバリエーションが増します。外部の講師を招く場合もありますが、部活動が盛んな学校では、大会やコンクールなどに向け、高い指導力が必要になることもあります。

大学進学において芸術科目の知識は必須でないため、進路指導時は重視されない傾向にある一方、音大を志す生徒への特別指導などを行なうこともあります。

上記の音楽に関わる指導に加えて、学校生活における指導全般、担任を務めれば学級の管理など、仕事の範囲は非常に多岐にわたります。定期試験の作成、採点、成績評価なども重要な業務です。

多忙を極める職務内容ではありますが、児童・生徒の成長を見守ったり、行事などの成功を見届けたりする際の感動は大きく、適性のある人にとってはとてもやりがいのある仕事だといえます。

音楽教師になるには?

民間の音楽教室講師の場合、指導する楽器や歌唱の技術を磨き、各音楽教室の講師を務めたり、自身で教室を開講したりして、キャリアを重ねていきます。

それに対し学校の音楽教師になるには、音楽の教員免許を取得しなければいけません。音楽大学や教育大学などで音楽教師になるための教職課程を履修し、必要単位を取得します。

その後、公立学校の場合は各都道府県の実施する教員採用試験を受けて合格しなければいけません。試験は学科試験に加え、実技試験、面接試験など幅広い範囲を対象とします。

仮に教員採用試験に不合格であっても各都道府県に臨時的任用教員への登録を申請すれば、本採用の教師と同様の待遇で教員を務めることができます。その後、教員採用試験へ再度チャレンジすることも可能です。その他、音楽以外の学科の必要科目を履修して小学校の教師免許を取得することもできます。

私立学校の場合は、各学校の募集要項に従い就職活動を行ない、採用試験に合格するなどの方法を経て、教壇に立つことができます。

必要な資格

民間の音楽教室講師は、特定の資格を必要としないことが多いです。ただし、各教室の設ける採用試験に合格するだけの音楽技術や指導スキルは必須です。

学校の音楽教師になるには、教員免許を取得しなければいけません。音楽の教員免許取得に必要な講座を設けている大学で、指定の科目を履修します。小学校の先生になるためには、音楽以外の科目の履修も必要です。

教員免許取得後、公立なら都道府県の教員採用試験、私立なら各学校の採用試験へ挑みます。

専門的な学校・学科はあるの?

音楽教師を目指す人は、音楽大学や短大、音楽関連の専門学校へ進学し、音楽のスキルを高める人が多いです。また、教育大学で教育について学び、音楽の教員免許取得に必要な科目を履修することもできます。

音楽の道を志す人のなかには、演奏家やプロのアーティストを目指し、選択肢の一つとして音楽教師を視野に入れている人や、始めから教師になることを前提に学ぶ人がいます。

自分の希望に沿った方法を選択することになりますが、音楽の教員免許を取得するには、その必要単位が取得できる進学先を選択しなければいけません。

文部科学省が「中学校・高等学校教員(音楽)の教員の免許資格を取得することができる大学」一覧を公開しているので参考にしてください。

音楽教師の年収・給与・収入

音楽教室の講師の給与は、担当教室の月謝のうち40%〜60%を受け取るケースが多く、勤務する教室の規模や教室の人気によって差が出ます。

平均年収は300万円〜360万円ほどであることが多いですが、特にフリーランスの場合は、数十万円から人気講師の場合1,000万円以上稼ぐ人もいます。

学校の音楽教師は、公立学校の場合地方公務員扱いなので、正規雇用であれば400万円〜500万円ほどの安定した年収を得られます。私立学校の場合は学校により給与体系は異なりますが、公立学校以上の収入を得られることも少なくありません。

学校の音楽教師は収入が安定している一方で、それに見合った仕事量であるかどうかは、人それぞれ異なります。部活の指導や進路指導など、業務内容が多岐にわたることもありますが、それに伴うやりがいもたいへん大きなものです。

音楽教師の社会のニーズ・将来性・まとめ

音楽を楽しむ人口は増加しており、その年齢層も幅広いため、音楽教室の講師のニーズは常にあります。ただし教える側や、その媒体もすでに多くの機関が切磋琢磨しており、講師の将来性が安泰というわけではありません。

少子化が進み、子どもの人口が減ることで、子どもを対象とした音楽教室は減少傾向にあります。それに加え、コロナ感染症の流行以降、オンラインでの教室など、学び方にも変化が起きています。

民間の音楽教室の講師には、これまで以上に変化に対応する能力や、オリジナリティを発揮するスキルが求められるでしょう。

一方、学校の音楽教師は近年、民間企業への就職希望者や退職期を迎える教師の増加を受け、競争倍率に低下傾向が見られます。しかし、少子化による生徒の減少は今後も進むため、教師の採用人数自体が減少する懸念もあります。

教師の職務内容過多については、改善へ向けた取り組みが進んでおり、労働条件の改善や、労働時間の適正化は今後進展する兆しが見られます。

芸術科目である音楽の教師は、主要科目の教師とは異なる特別な立場ではありますが、音楽の楽しさを生徒たちに伝え、豊かな心を育てる役割はこれからも必要とされ続けるでしょう。

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