小学校教諭

小学校教諭は、児童たちにとって学校での保護者のような存在で、日々の授業や活動を通し、児童が知識や思考力・表現力を身につけられるように指導します。

知識以外にもさまざまな影響を児童たちに与えるので、児童たちを見守り、ともに成長する心構えに加え、人としての魅力やコミュニケーション能力が求められます。

義務教育の最初の段階として、学校生活を通じて社会のルールやマナーなどを学ばせ、集団生活になじませる指導をする重要な仕事です。

小学校教諭の仕事

小学校では、基本的にすべての教科を一人の教員が教えます。図画工作・音楽・体育などの実技教科は、専任教師が教える学校もあります。

1年生から6年生のどの学年の担任も受け持つ可能性があるため、各学年に合わせた指導が必要です。6歳から12歳までの幅広い年齢の児童一人ひとりに向き合い、まとめながら教育を行なうのは大変な仕事です。

さらに、通常の体育授業に加えて、2008年に出された学習指導要領の改訂案により授業の一環としてダンスが必修化されました。

ダンスは、1・2年生は「表現リズム遊び」、3・4年生は「表現運動(リズムダンス)」、5・6年生は「表現運動(フォークダンス)」という名称で実施しています。

それほど高いレベルが求められるわけではなく、リズムに乗って、即興的に弾む、回る、ねじる、スキップするなどを友達と一緒に楽しく行ないます。

ダンスのほかに、2020年度から英語教育が必修化されました。3・4年生で週1回程度の外国語活動、5・6年生で週2回程度の教科としての英語教育を実施します。

英語教育の学習目的は、「英語によるコミュニケーション能力を養うこと」です。これまでの「読む」「書く」英語ではなく、「話す(やり取り)」「「話す(発表)」「聞く」「読む」「書く」の4技能5領域をバランスよく習得し、特に小学校では「話す」「聞く」能力を中心に伸ばすカリキュラムが組まれています。

英語教育と同じく、2020年度からプログラミング教育が必修化されました。プログラミング教育の目的は、プログラミングスキルを身につけるだけでなく、「小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力などの育成」とされています。

プログラミング教育の授業内容は具体的に定められているわけではなく、それぞれの学校である程度自由に実施しています。

パソコンやタブレットを学校で用意し、プログラミングの授業だけでなく、さまざまな教科で創意工夫により、積極的に取り組むことが望まれています。

また、新型コロナウイルスの影響を受け、オンライン授業を導入する小学校が増えたため、児童一人につき一台のタブレット端末の配備もかなり進んでいます。

小学校教諭は、教科や学校生活を指導するほかにも、遠足の引率や運動会の準備、PTA参加、家庭訪問など学校行事に関する仕事もあるため、かなり多忙な職業です。

小学校教諭になるには?

小学校教諭になるには、小学校教員免許状を取得しなければなりません。免許状には、「一種免許状」、「二種免許状」、「専修免許状」の3種類あります。

「一種免許状」:初等教育教員養成課程を持つ4年制大学で所定の単位を取得し卒業すれば取得できます。「一種免許状」取得は、小学校教諭になる一般的な方法です。

「二種免許状」:短期大学などで必要な科目の単位を取得して得られます。「一種免許状」と比べて指導可能な範囲は同じですが、小学校教諭になったあとも「一種免許状」取得の努力義務が課されます。

「専修免許状」:「一種免許状」を基礎とする「専修免許状」取得が可能な大学院の修士課程を修了し、所定の科目の単位を取得して得られます。大学院に進む前に「一種免許状」を取得している場合は、必要な単位の取得数が軽減されます。

小学校免許状取得後は、各都道府県などが実施する教員採用試験に合格する必要があります。

いずれの免許状も指導範囲は同じですが、高学歴志向の影響を受け、教員採用試験の合格は極めて難しくなっています。

必要な資格

小学校教諭になるために必要な資格は、小学校教員免許状のみです。

しかし、教員採用試験では知識だけでなく、教えなければならない教科では各都道府県ごとにさまざまな実技試験が課せられます。

たとえば、ピアノ・オルガンの弾き歌い、水泳(50メートル)、器械運動(マット・鉄棒)、ボール運動(ジグザクドリブル)などの実技試験が行なわれます。

また、外国語・外国語活動に関する実技試験として簡単な英会話能力を必要とする試験が課せられる都道府県もあります。

志望する都道府県の実技試験の傾向を調べ、前もって準備をしておくことが必要です。

専門的な学校・学科はあるの?

小学校教諭になるには、大学に通う以外に専門学校に通う方法があります。

原則として専門学校では教員免許状を取得できません。しかし、昭和20年代以前から教員養成を行なっていた師範学校は特例で教員免許状の取得が認められています。

ただし、神奈川にある横浜高等教育専門学校と福岡にある福岡教員養成所の2校だけです。

上記2校以外の専門学校では、専門学校入学と併せて通信制大学や通信制短大に入学(ダブルスクール)し、専門学校の勉強とは別に通信制大学などでも勉強をして、最終的に通信制大学などで教員免許状を取得する流れになっています。

小学校教諭の年収・給与・収入

初任給:約18万円(短大卒)

約21万円(大学卒)

平均給与月額:約31万円(短大卒)

約33万円(大学卒)

平均年収:約620万円(短大卒)

約640万円(大学卒)

校長などの管理職以外の教員に支給される手当として「教職調整額」があります。「教職調整額」とは一般的な職業の「時間外勤務手当」に代わるものです。

家庭訪問や学校外の教育活動など時間での勤務管理が難しいため、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」に基づき、給料月額の4%が支給されます。

小学校教諭の社会のニーズ・将来性・まとめ

小学校教諭は、児童にとって社会生活の基礎を学ぶ大切な時期を担うため、「学力」とともに「人間性」が重視されつつあります。

また、知識や思考力を身につけさせる指導力とともに、常に公平な立場で接し、何事にも前向きに取り組む姿勢が求められています。

小学校教諭は、給与・賞与は安定しており、各種手当は一般の職業に比べてとても充実していて人気のある職業です。

小学校教諭になるには「教員免許状」を取得するだけでなく、さらに「採用試験」で学校に採用される必要があり、最近の高学歴志向も相まって狭き門となっています。

しかし、採用後には心身ともに伸びていく児童たちの姿を見守りながら一緒に成長できるという魅力があり、大きなやりがいがある職業です。

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