高校教諭

高校教諭は、多感な思春期にある高校生を指導します。生徒の成績向上だけでなく、不安定な時期にある生徒たちの抱える悩みに親身になって耳を傾けることが求められます。

高校に進学しても、クラスになじめなかったり、授業についていけなかったりなどで悩み、不登校や退学する生徒が少なくありません。

社会に出たあとに困らないよう厳しく指導するのは大切ですが、それぞれの生徒の悩みを認識し、常日頃から生徒たちを観察する能力が高校教諭にとって重要なスキルです。

高校教諭の仕事

高校教諭は、小学校教諭や中学校教諭と比較してより専門的で、授業の準備などにも時間がかかります。また、高校卒業後は進学や就職が関わってくるので、生徒一人ひとりに合った対策・対応が必要です。

教科には大きく分けて、国語、数学、地理歴史・公民、理科、外国語などの普通教科と工業、商業などの専門教科があり、それぞれの科目を各教師が担当し、それに関する授業を行ないます。

小学校教諭、中学校教諭に比べると受け持つ授業数は少ないですが、高校では授業の専門性が上がります。

授業などの準備に相当な時間がかかるので、あらかじめ学習指導要領に沿って一年間の授業計画を組み立てて、授業で使用するプリント、中間・期末テストの問題作成などを行ないます。

しっかりと授業計画を立てて準備をし、授業を行なうことは重要な仕事です。しかし、授業内容がどれだけよくても、ただ黙々とこなして、生徒が興味を持たないのであれば意味がありません。

どうすれば授業を伝えられるか考えて授業を行なう必要があります。

また高校教諭は、小学校教諭、中学校教諭と同様に生徒の悩み相談や必要であればアドバイスをします。

しかし、高校生はとても多感な時期にあるので、日々の学校生活の生活指導だけでなく、普段の様子を把握し、日々のコミュニケーションのなかから生徒たちの変化を正確に把握することが重要です。

また、高校生は卒業後の進路によって、将来が大きく左右されます。生徒の志望進路に沿って的確にアドバイスし、ときには生徒に合わせてほかの選択肢を提案するのも必要です。

高校教諭は、授業や生徒指導に加えて、「校務分掌」と呼ばれる学校の運営に関わる事務作業や修学旅行、文化祭などの学校行事にも関わります。

高校教諭になるには?

高校教諭になるには、国家資格の「高等学校教諭一種免許状」、もしくは「高等学校教諭専修免許状」の取得が必要です。

「高等学校教諭一種免許状」:文部科学省が定める4年制大学に進学し、所定の単位を修得、教育実習を修了すると得られます。

「高等学校教諭専修免許状」:文部科学省が定める大学院に進学し、所定の単位の修得が必要です。もしくは、「高等学校教諭一種免許状」取得後に、3年以上学校教員として勤務し、かつ大学で所定の単位を修得し、「教育職員検定」に受かると得られます。

また、高校教諭の免許は「教科別」になっているため、事前に決めておく必要があります。

高校教諭免許状の科目

国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語、音楽、美術、工芸、書道、保健体育、保健、看護、看護実習、家庭、家庭実習、情報、情報実習、農業、農業実習、工業、工業実習、商業、商業実習、水産、水産実習、福祉、福祉実習、商船、商船実習、職業指導、宗教

そして、公立高校と私立高校では採用方法が違うので注意が必要です。

・公立高校の場合

公立高校教諭になるには、大学・大学院を卒業して免許状を取得したのち、「教員採用試験」に合格する必要があります。

公立高校の「教員採用試験」は、各都道府県などの自治体が行ないます。

全国的に3~4月に出願し、6~7月に1次試験、8~9月に2次試験、10月に合格発表となります。試験内容は、筆記・論文・面接・実技・適性検査などです。

・私立高校の場合

私立高校教諭になるには、私立中学高等学校協会が行なう適性検査などをもとに高校から志望者に連絡がくる場合と私立高校のホームページに直接応募するか、私立高校の教員志望者と高校をマッチングするサービスを利用する方法があります。

私立高校教諭の募集は、公立高校教諭の「教員採用試験」と異なり、随時行なわれています。

必要な資格

高校教諭になるために必要な資格は、各種教員免許状のみです。

ですが、高校教諭の授業は専門的であり、担当したい科目によっては就職や授業をするのに活かせる資格があります。

たとえば、英語を担当するのであれば、TOEIC(R)などの英語資格は就職にも有利になります。また、資格取得を目指す生徒も少なくないため、高校教諭自身が取得していれば、指導やアドバイスもしやすいでしょう。

専門的な学校・学科はあるの?

高校教諭になるには、大学に通う以外に専門学校に通う方法があります。

原則として専門学校では教員免許状を取得できません。しかし、昭和20年代以前から教員養成を行なっていた師範学校は特例で教員免許状の取得が認められています。

ただし、神奈川にある横浜高等教育専門学校と福岡にある福岡教員養成所の2校だけです。

上記2校以外の専門学校では、専門学校入学と併せて通信制大学や通信制短大に入学(ダブルスクール)し、専門学校の勉強とは別に通信制大学などでも勉強をして、最終的に通信制大学などで教員免許状を取得する流れになっています。

高校教諭の年収・給与・収入

初任給:約21万円

平均給与月額:約43万円

平均年収:約680万円

校長などの管理職以外の教員に支給される手当として「教職調整額」があります。「教職調整額」とは一般的な職業の「時間外勤務手当」に代わるものです。

家庭訪問や学校外の教育活動など時間での勤務管理が難しいため、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」に基づき、給料月額の4%が支給されます。

高校教諭の社会のニーズ・将来性・まとめ

高校教諭は、生徒たちの将来を左右する重責を担います。生徒はそれぞれ違う個性や価値観を持っているので、それぞれの志望する進路に親身になって向き合うことが求められます。

生徒と向き合っていくことは、とても責任が大きく、臨機応変な対応が求められますが、生徒と真剣に向き合うことで自分も成長していくことができるのが高校教諭の魅力です。

ただ教師としてだけではなく、義務教育を卒業し、初めて自分で人生を選択する生徒たちの悩みに親以外の身近な大人として、思いやりを持った対応が求められています。

高校教諭は、給与・賞与は安定しており、各種手当は一般の職業に比べてとても充実していて人気のある職業です。

しかし高校教諭の仕事は、どれも責任が大きくやりがいがある反面、生徒たちのためにも日々自分の研鑽を休むことなく続けなければなりません。

それでも生徒たちが自分を慕い、自分のアドバイスなどを参考にしてしっかりと目標を達成し、希望の進路に進むことができたときには自分のことのように喜びを感じることができます。

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