学芸員

学芸員は博物館や美術館、動物園、水族館、植物園などの施設ではたらく職業です。それぞれの専門分野を探求し、研究を深めていくことはもちろん、資料の展示、企画、PR活動など世の中の人々へ向けた価値の公開・普及も担います。

就業するのが「狭き門」という状況も見られますが、文化の振興や価値の保存において欠かせない存在であることも確かです。各分野へのあくなき探求心や、世の中にその素晴らしさを伝えたい人にとっては、非常に有意義な職業です。

学芸員の仕事がどのようなもので、学芸員になるにはどうしたらよいか、それぞれ見ていきましょう。

学芸員の仕事

学芸員は博物館に勤務し、資料の保存や展示、調査、研究、教育普及などを行なう職業です。科学博物館や歴史博物館などの一般的な博物館だけでなく、美術館、動物園、水族館、植物園なども学芸員の活躍の舞台です。そのため、勤務先によって必要な専門知識も変わってきます。

学芸員はそれぞれの分野の資料や作品を調査・研究し、その価値や意義について深めていく役割を担います。その分野の専門的、学術的な知識を習得し、探求心を持って深堀りしていく研究者としての能力が必要です。そこで得た研究結果を論文、出版物にまとめ、発表することもあります。

資料の保管や調査、研究だけでなく、その意義や魅力を社会へ公開し、教育普及していくことも学芸員の大切な役割です。資料の価値や魅力をどのように人々に伝えるか検討し、展示物として築き上げます。時に博物館案内やフィールドワークを行ない、資料の持つ意義や素晴らしさを、子どもから大人まで、幅広い対象へ伝える役割を果たします。

常設展の管理、特別展の企画、展示の作成、告知活動、来場者への解説、展示物の確保や他の機関への貸し出しなど、業務の内容も多岐にわたります。このように学芸員は、資料の調査や保存といった研究を深めていく姿勢と、展示やPRのような、対外的に普及していく活動の両方を行なう必要があります。

そのためには、正しく資料の管理・保存を行なう技術、それぞれの分野の専門知識、それが社会のなかでどのような意義を持ち、人々にどのような価値をもたらすかを考える力が求められます。それらを展示物へ具現化していくスキルも必要です。

各分野の専門的な知識はもちろんですが、それを誰に、どのように伝えるか、どういった表現を行ない人々の関心を集めるか、それを検討するには、より広い視点で社会を俯瞰する能力も求められます。

多角的な視点と、専門的な技術が必要となる学芸員ですが、根底にあるのはその分野への興味と情熱、そしてその素晴らしさを人々へ広め、価値を伝えていこうという姿勢でしょう。現在学芸員や博物館の置かれた状況は安泰でなく、就業は狭き門ではありますが、未来に向けての価値保存という意味でも、学芸員は重要な役割を担っています。

学芸員になるには?

学芸員になるには、就業するための条件を満たす必要があります。一般的なのは、学芸員資格を得るための科目が履修できる大学へ進み、必要科目の単位を修得することです。なお、学芸員資格の取得に必要な科目が学べる大学は、文化庁のホームページなどに一覧が記載されています。

また、学士の学位を有しているなど、指定の条件を満たし、文部科学省が実施している学芸員資格認定試験に合格すれば学芸員の資格を得ることができます。試験は必須科目8科目と選択科目2科目が課され、合格すると筆記試験合格証書が授与されます。令和3年度の試験は受験者数114人、合格者数65人、合格率57.0%という結果が出ています。

筆記試験合格後、学芸員補として1年間働くことで合格証書が授与され、ようやく学芸員の資格を取得することができます。学芸員資格認定試験は、大学卒業など学士の試験があれば受けられるため、学芸員以外の進路を歩む人も受験者に含まれています。

学芸員の資格を取得したのちに各博物館の採用試験へ臨み合格しなければいけませんが、そもそも採用自体がまれであるため、正社員として就業するのはたいへん難しい状況が続いています。

必要な資格

学芸員になるには、下記の「学芸員になるための資格」をいずれかの方法で取得しなければいけません。

  • 学士の学位を有し、大学で文部科学省令の定める博物館に関する科目の単位を修得したもの
  • 大学に2年以上在学し,博物館に関する科目の単位を含めて62単位以上を修得したもので、3年以上学芸員補の職にあったもの
  • 文部科学大臣が、文部科学省令で定めるところにより、上の二つにあげたものと同等以上の学力及び経験を有すると認めたもの(学芸員資格認定を合格したもの)

※学芸員になるには | 文化庁 参照

また、学芸員資格認定試験は下記の条件を満たした人が受験できます。

  • 学士の学位を有する者
  • 大学に2年以上在学して62単位以上を修得した者で2年以上学芸員補の職にあったもの
  • 教育職員の普通免許状を有し、2年以上教育職員の職にあったもの
  • 4年以上学芸員補の職にあつたもの
  • その他文部科学大臣が上記に掲げるものと同等以上の資格を有すると認めたもの

※『令和4年度学芸員資格認定受験案内』|文化庁 参照

このように、指定の大学での「博物館に関する科目」の履修や、規定の条件を満たしたうえで学芸員資格認定試験を受験、合格することで、「学芸員になるための資格」を取得することができます。

<h4>専門的な学校・学科はあるの?<h4>

「学芸員になるための資格」を得るために、もっとも早道なのが「博物館に関する科目」を履修できる大学に進学し、指定の単位を取得することです。学芸員資格取得に必要な科目が学べる大学は、文化庁のホームページに記載されているので参照するとよいでしょう。

また、一口に学芸員といっても、働く博物館はそれぞれに専門の知識を必要とします。大学院まで進学し、修士、博士などの資格を取得する人も少なくありません。そのため、それぞれの分野の知識を、深く学べる学校・学科への進学を検討する必要があります。

学芸員の年収・給与・収入

学芸員の収入は、進んだ勤務先によって異なります。学芸員の就職先は科学博物館、歴史博物館、民俗博物館といった一般的な博物館に加え、美術館や水族館、動物園、植物園など多種多様です。また公立の博物館、私立の博物館など、さまざまな施設が対象となります。

とはいえ、学芸員の収入は全体的に見て、高くないのが現状です。公立の博物館の場合、採用時の給与月額は14万〜20万円ほどが一般的です。私立の博物館も、なかには30万円以上の給与月額を得られる勤務先も見られますが、ほとんどが公立と変わらない程度の金額となっています。

キャリアを重ね、博物館での役職が高まることで収入がアップすることもありますが、そもそも正社員として就職すること自体が非常に難しく、採用試験は欠員が出た時のみということも少なくありません。正社員を目指しながら、非正規雇用として就業するケースも多く見られます。

学芸員の社会のニーズ・将来性・まとめ

博物館数の過去からの推移をみると、増加傾向が見られるものの、近年は横ばいです。また博物館の運営に関わる予算は縮小傾向で、人件費の調整のために非常勤社員や、アルバイトで補っている状況も見られます。

正社員の採用自体が、現状社員に欠員が出た場合などきわめて限られており、その際も大学院卒など高い専門性のある人材の方が有利なことは確かです。また来館者アップへ向け、展示の方法や企画力がある人材も求められています。

学芸員への道が狭き門であることは確かですが、日本の文化価値や、博物学的な資料の保存、知識の発展は、欠かすことのできないもので、それを担う学芸員は常に必要な存在です。

社会の動向を受け、博物館の置かれる状況、学芸員の将来性は変動しますが、今後それらの存在価値が高まる可能性もあるため、学芸員を目指す人には、専門分野の研究に加え、社会の動きなどを広い視野で学んでいく姿勢が求められます。

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