電気工事士

電気工事士の仕事

電気工事士は、電気設備の工事やメンテナンスを行う技術者のことです。私たちが普段何気なく電気を使えているのも電気工事士のおかげといって過言ではなく、国民の生活インフラを支える重要な職業といえるでしょう。

就職先は電気工事会社や建設会社、家電メーカーの代理店などが一般的です。電気工事士は会社によって業務の内容が異なるため、以下に代表的な仕事内容を記載します。

①外線配線工事:時折、電気工事士が電柱の上で作業している光景を目にしますが、これを外線配線工事と呼びます。電柱を伝って電線をビルや工場、家屋などへ繋いで各場所で電気を利用できるようにする大切な仕事です。

②屋内配線工事:ビルや工場、一般住宅内など建物内に電気配線を通す作業を屋内配線工事と呼びます。スイッチやコンセントなど、私たちが毎日使っている電気設備もこの作業で付けられるのです。

③冷暖房設備工事:エアコンの取り付けや取り外し、クリーニングなどの冷暖房設備に関連した工事も電気工事士の仕事の一つです。家電量販店からの依頼を受けて仕事を行うことが多いとされています。

④ビル管理:ビルの電気設備をはじめ、水道や空調など様々な設備の維持管理を行う仕事です。電気工事士の仕事のなかでは比較的体力を要しないことから、長く働ける職場として人気です。

上記のほかにも、高速道路や変電所、電車や線路、太陽光発電システムなどの電気設備工事を行うこともあり、幅広い現場で活躍できる職種だといえるでしょう。

電気工事士になるには?

電気工事士として働くためには「電気工事士」の資格取得が必須です。

電気工事士の資格は第一種と第二種に分かれており、両者の違いは扱える工事の範囲です。第二種は一般住宅や小規模施設の電気工事までですが、第一種はビルや工場などのより大きな施設の電気工事まで行なえます。

どちらの資格も学歴や年齢に関わらず受験できますが、第一種の合格後に免状の申請を行なうには3年以上の実務経験が必要です。試験に合格するだけでなく、実務経験の有無が問われるのが第一種と第二種の大きな違いとなっています。

なお、「スイッチにコードを取り付ける」や「家庭用エアコンの端子に電線を差し込む」などの軽微な工事は、実務経験に数えられない場合があるため事前の確認が必須です。

必要な資格

前述したとおり、電気工事士の受験資格には学歴や年齢の制限がないため、誰でも電気工事士試験を受けることができます。

試験内容は、第一種及び第二種ともに筆記試験と技能試験に分かれており、それぞれの直近4回の合格率は以下のとおりです。

第二種電気工事士の合格率の推移
実施年度筆記試験合格率技能試験合格率
2019年(下期)58.5%62.2%
2020年(下期)62.1%72.9%
2021年(上期)60.4%74.2%
2021年(下期)57.7%71.1%
第一種電気工事士の合格率の推移
実施年度筆記試験合格率技能試験合格率
2018年40.5%62.8%
2019年54.1%64.7%
2020年52.0%64.1%
2021年53.5%67.0%

第二種電気工事士の筆記試験における4回の平均合格率は59%と、国家資格のなかでは比較的難易度が低い方だといえるでしょう。一方で、第一種電気工事士の筆記試験における4回の平均合格率は50%となっており、より難易度が一段階高くなるため入念な試験対策が必要です。

専門的な学校・学科はあるの?

全国の工業高校や短大・専門学校、大学などに設置されている「電気工事士養成施設」で所定の単位を取得して卒業すれば、国家試験を受けることなく第二種電気工事士の資格を取得できます。

「電気工事士養成施設」に認定されている学校でなくても、電気理論、電気計測、電気機器、電気材料、送配電、製図(配線図を含むものに限る)、電気法規の7科目をすべて履修し卒業した者であれば、第二種の筆記試験に限り免除されます。

電気工事士の受験資格には学歴の制限がないため、必ずしも学校に通う必要はありません。第二種電気工事士の場合、しっかりと受験対策しておけば独学でも合格は難しくはないでしょう。

なお、独学での勉強に自信がないという人や効率良く学習を進めたいという人は、スクールや通信教育の受講という手もあります。通信教育では自分のペースで学習を進められ、スクールでは出題頻度の高い項目を効率的に押さえることが可能です。

電気工事士の年収・給与・収入

厚生労働省のデータによると令和2年における電気工事士の平均年収は426万円となっており、国税庁が公表する全職種の平均年収433万円と比べても、ほぼ平均並みの給与水準であることがわかります。

ただし、勤務年数や保有資格、勤務する会社の規模や役職によっても年収は変わるでしょう。勤務年数や役職はどうしても年数を重ねる必要がある一方で、資格の取得は若手でも年収を上げることができる方法の一つです。

電気工事士に関連する以下の資格は、資格手当による年収アップが期待できます。また、保有資格が多いことは転職や独立の際にも有利に働くでしょう。

・電気工事施工管理技士:電気工事施工管理技士の資格を取得することで、建物の建設や増築時における電気工事の現場を監督・管理する業務を担うことができます。同資格は建設業界でも需要が高いため、転職時や独立後にも大いに役立つでしょう。電気工事士が年収アップを狙う際には、積極的に取得を目指したい資格です。

・第三種電気主任技術者:「電験三種」とも呼ばれるこの資格は、発電所や変電所、工場やビルなどに設置されている電気設備の保守・監督を行うために必要な国家資格です。国家試験の平均合格率は約10%と取得難易度の高い資格ですが、取得すれば年収アップはもちろん、需要が高く転職や独立にも役立ちます。

給料の良い会社へ転職したり給料の高い役職を目指したり、また、独立開業時においても資格の保有はメリットが大きいため、積極的に取得を目指しましょう。

電気工事士の社会のニーズ・将来性・まとめ

近年、通信システムの発達や再生エネルギーの普及により電気工事士のニーズはますます高まっています。具体的には、IoTや5G通信に関連した設備の設置、太陽光発電システムや電気自動車の充電施設の拡大などです。

テクノロジーの発展の裏には、実際に設備を設置するための技術者が必須で、設置からメンテナンスまで電気工事士の活躍の場は多岐にわたります。もはや電気設備なしの建物など想像し難く、人々が生活し続ける限り今後も安定した需要が見込まれる職種だといえるでしょう。

また、電気工事士をはじめ電気工事関連の資格は、受験資格に年齢や学歴の制限がないことが多く、自身の努力次第で確実にキャリアアップを図ることができます。一方で、電気工事士として3年以上の実務経験を積めば独立開業することもできるため、将来の選択肢は広いといえるでしょう。

このように、電気工事士には幅広いニーズがあるため、急速に発展するテクノロジーへ柔軟に対応する能力も求められます。絶えず勉強する高い向上心と意欲が必要な分、将来性のある職業ともいえるでしょう。

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