MR(医薬情報担当者)

MRはMedical Representatives(医療情報担当者)の略で、製薬会社に所属し、自社が販売する医療用医薬品のPRを行なう職業です。

日本国内で医療用医薬品を製造販売している製薬会社は約120社で、内資系の製薬会社は90社、外資系製薬会社は30社ほどあります。MRはこれら製薬会社を中心に勤務し、人数としては日本国内で約5万人です。

近年は製薬会社からMR派遣業務を請け負っている、CSO(Contract Sales Organization)に所属するコントラクト(派遣)MRの割合が増加傾向にあります。

MR(医薬情報担当者)の仕事

MRがPRを行なう医薬品とは医師の処方箋がなければ購入できない医療用医薬品のことで、処方箋をもとに薬局で薬剤師が処方します。

医薬品というとドラッグストアなどで購入できる風邪薬や胃薬などを思い浮かべるかもしれませんが、こちらは一般用医薬品と呼ばれるもので、開発プロセスや効果が医療用医薬品とはまったく異なるものです。

医療用医薬品は一般用医薬品と比較して基本的に効果も副作用も大きく、人体に大きな影響を与えます。そのため使用する際は用法用量や他の医療用医薬品との併用などを考慮し、慎重に処方しなければなりません。

そこで医学のプロである医師が患者さんの容態を診て、治療に必要な医薬品の処方箋を書き、薬学のプロである薬剤師が処方をするというプロセスが取られます。

MRは実際に医薬品を処方する立場の医師や薬剤師への情報提供を通して、自社の医薬品の有用性を理解してもらい、採用を増やすことが仕事です。

このMRの仕事が特殊な点は、情報提供のみを行ない商品である医薬品を直接販売しない点にあります。MRは一般的な営業職とは異なり、商品である医薬品を自ら病院や薬局に販売することはしません。また医療用医薬品の価格は国が定めているので、価格交渉などもできません。

実際に医療機関への販売を行なうのは、医薬卸と呼ばれる販売会社です。MS(医薬品卸販売担当者)と呼ばれる医薬品専門の販売員が、各医療施設や調剤薬局へ医薬品を販売・流通します。

医療用医薬品はこのように、MR(製薬会社)が情報提供を担当し、MS(医薬卸)が販売するという役割分担が明確です。

MRの働き方は担当するエリアや医薬品の領域によって大きく左右されます。基本的にMRはエリア内の全医療機関が担当です。一部病院担当MRなど、エリアを広域にまたいで総合病院だけを担当するケースもあります。

担当エリアの決め方は各製薬会社によって異なりますが、担当する予算に合わせてエリアを決めている製薬会社が多いようです。そのため大規模な製薬会社であれば、一つの市を何人ものMRで分担することも珍しくありません。逆に売上の小さな小規模会社の場合は、一人で複数の県を担当することが必要です。

また担当する医薬品の領域で、訪問する医療機関が異なってきます。

例えば消化器領域に強みがあり、扱っている医薬品が胃腸薬を中心とした消化器系疾患の治療薬であった場合、面談する医師は消化器内科や広く患者さんを診るクリニックなどです。一方でがん領域の治療薬など専門性の高い医薬品を担当する場合、専門治療を行なう大病院の専門医を中心に面談を行ないます。

MRの仕事は自動車による直行直帰の外回りが中心で、一日にいくつもの医療機関を回るのが普通です。小規模な病院を担当する場合、一日に10件、少なくとも5〜6件の医療機関を回り、大学病院担当のMRも一日最低1〜2件は医師と面談します。

面談の可否は医師の予定やクリニックの状況に大きく左右されるので、面会できないこともざらです。そうした事態も考慮した上で、一日だけでなく1週間・1ヵ月単位でなるべく多くの医師と面談できるよう訪問スケジュールを組むことがMRには求められます。

MR(医薬情報担当者)になるには?

MRになるには、大学を卒業して製薬会社に入社することが一般的な方法です。特に薬学部を卒業し医薬品に関する知識があれば、すぐにMRの仕事にも活かすことができるでしょう。

ですが薬学部でなくても入社することは可能で、むしろ文系出身者も毎年多数入社しています。実際にMRのなかで薬剤師の資格を持っているのは1割程度であり、半数は文系出身者です。

また、MRとして働いている方のなかには、相当数他業種からの転職組も含まれています。これはMRの業務内容として医療関係者とコミュニケーションが必須で、医薬品の情報を正しく伝えることが重要な任務の一つであるためです。

伝える医薬品の知識を身に付けておく必要はありますが、仕事の大部分は他業種でいうところの営業的要素が強く、経験を活かすことができます。

他業種からの中途採用の場合、いきなり製薬会社に入社するパターンは少なく、CSOでコントラクトMRを数年経験してから製薬会社に転籍する方が多いようです。

必要な資格

MRに転職するために必須の資格はありませんが、入社後にMR認定試験を受験しMR認定証を取得することになります。

MR認定試験は厚生労働省が認可するMR認定センターが実施しており、試験科目は以下の3科目です。

  • 医薬品情報
  • 疾病と治療
  • MR総論

医薬品情報は、医薬品やそれを取り扱う医療現場について、薬学の基礎や医薬品の開発から販売までの各項目について問われます。疾病と治療は、人体の構造と機能や各器官ごとの疾病の概要とそれに対する治療方法などが出題範囲です。MR総論の範囲は、MRが持つべき倫理や医薬品関連の法律、医療制度などとなります。

いずれも2択・3択・5択問題の3形式で、医薬品情報とMR総論が制限時間90分の80問、疾病と治療が120分で110問です。

この3科目すべてで合格点を取る必要があります。ただし医師、歯科医師、薬剤師資格がある場合は、2科目が免除されるのでMR総論1科目のみの受験です。MR認定試験は毎年12月に東京・大阪で開催され、合格することでMRとしての最低限の知識があると認定されます。

合格率は毎年約80%で、資格がなくてもMRの仕事は可能です。ですが業務上不利になる場面が多くなるため不合格者は翌年以降も合格するまで受験します。つまりMR認定証は必須ではありませんが、MR全員が持っていると考えて差し支えない資格です。

ほとんどの製薬会社は新卒者を対象に、MR認定試験対策として入社から数ヵ月間研修を行ないます。そのため製薬会社に入社して配属が決まるのは入社から3〜6ヵ月後です。

試験直前は業務をこなしながら12月の試験に向けて勉強に励みます。これはCSOに入社した場合や中途採用でも同様です。

MR認定証はMRとして勤務するためには必須の試験ですが、合格率も高く派遣先や配属先が決まる前にしっかりと試験対策をしてくれる会社が多いので、それほど不安に思う必要はありません。

また、MRは営業活動の移動手段はほぼ車移動です。そのため運転免許も実質必須の資格であるといえるでしょう。

専門的な学校・学科はあるの?

MRになるための専門的な学校・学科はありません。

製薬会社の募集要項では、最終学歴が大卒以上となっている場合が大半です。そのためMRになるためには、大学・大学院卒以上の学歴であることが望ましいでしょう。

学部学科に関しても理系出身者が求められるイメージがある製薬会社ですが、前述のとおりMRの半数は文系出身者です。もちろん医学や薬学の知識があればアピールになるため医学部や薬学部生が有利ではありますが、実際問題として入社段階ではあまり問われません。

それよりも医師相手に医薬品の説明をするという仕事の特性上、物事をわかりやすく説明できる能力やコミュニケーション能力の高さ、計画的に仕事に当たることができるかなどを評価される傾向にあります。

MR(医薬情報担当者)の年収・給与・収入

MRの求人を見ていくと、新卒の初任給で22万円~25万円となっているものが多い様です。ですが、実際はこれに日当や外勤手当などが付くので、実際の給与額はプラス5万円~10万円といったイメージになります。

全MRの平均年収は700万円以上で、成績次第では30代で1,000万円超えも珍しくありません。営業職のなかではトップクラスに高い収入が見込めます。

製薬会社のなかでも大手ほど給与が高い傾向にあり、また外資系製薬会社は成果報酬での変動が大きくなりがちです。

CSO勤務の場合は製薬会社に派遣される派遣社員のようなイメージですので、経験によって500万円から800万円と、製薬会社に勤めるMRと比較すれば若干金額は下がります。

MR(医薬情報担当者)の社会のニーズ・将来性・まとめ

近年は新薬開発費が高騰している一方で、画期的な薬効で年間数百億円規模の売上となる新薬が出にくくなっているのが製薬業界の現状です。そこで各製薬会社ともMRの人員整理に動いており、自社のMR数を絞っています。

ですが、新薬発売時など多数の人員が必須になる時期でMRが不足していては、医師に十分な情報提供ができません。そうしたタイミングで人員を確保するため、各製薬会社はCSOからコントラクトMRの派遣を増やしています。

つまり、現在MRを取り巻く状況としては製薬会社に勤める機会は少なくなっていますが、代わってCSO各社で需要が増加傾向です。これは他業種からMRを目指す際、より業界に入りやすくなったともいえます。

製薬会社も優秀な人員をいかに確保するかという点に注力しており、製薬業界は結果さえ出せば転籍が当たり前の業界です。そのため他業種から製薬会社の正社員になる可能性はむしろ高まったといえるでしょう。

ただしインターネットの発達で医師や薬剤師が医薬品の情報を得る手段は年々増加し、今後MRの全体数は少なくなっていくといわれています。

最終的に生き残るMRとなるためには、専門知識や英語の医学文献を読み解く英語力、デジタルスキルなど、より高い能力を身につける必要がある点は間違いありません。

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