獣医師

獣医師は、ヒト以外の生き物の診察や治療を行なう医師です。犬や猫など家庭で飼育されているペットの病気予防や治療のほか、牛や豚、馬など家畜の診察や出産のケアにも携わります。

動物病院での勤務だけでなく、家畜専門の診療所や牧場も勤務先の一つです。食品関連の民間企業に獣医師として就職し、契約先の農場で飼育指導や診察を行なう働き方もあります。

小動物専門の「伴侶動物分野」や家畜の診療をメインで行なう「産業動物分野」のほか「公衆衛生分野」「バイオメディカル分野」「野生動物関係分野」など、獣医師の仕事は多岐にわたります。

獣医師の仕事

獣医師の仕事は、おもに5つの専門分野に分かれています。

  • 伴侶動物分野
  • 産業動物分野
  • 公衆衛生分野
  • バイオメディカル分野
  • 野生動物関係分野

「伴侶動物分野」の仕事は、おもに動物病院での勤務となり、犬や猫をメインにウサギや鳥などの小動物の診察・治療を行ないます。近年のペットブームにより動物病院の需要が高まり、人間と同じような設備やサービスが受けられる施設が増えてきました。ペットの飼育方法を教えるセミナーやしつけ教室を開催したり、各家庭へ往診を行なったりする動物病院もあります。

「産業動物分野」は、牛や馬、豚や鶏などの家畜をメインに、健康管理や診察・治療を行ないます。ワクチン接種による病気の予防や、人工授精を用いた繁殖や品種改良も産業動物分野の仕事です。また、動物用医薬品の安全を確保するため、薬品の製造や使用の監視も行ないます。

「公衆衛生分野」の仕事は、動物検疫所で食品の安全性を守るための監視や指導がメインです。疾病や異常のある肉を排除する「と畜検査」や「食鳥検査」、海外から流入する家畜伝染病を防ぐ「検疫業務」といった業務を行ないます。

「バイオメディカル分野」は、おもに製薬会社での勤務となります。医薬品の研究・開発をはじめ、安全性や有効性の試験も行ないます。遺伝子工学や生命科学に関わる研究に携わることもあります。

「野生動物関係分野」は、地球上に生息する大小さまざまな野生生物を管理する仕事です。野生に暮らす動物たちを動物園や水族館で適切に管理・飼育し繁殖させるほか、健康を維持するという大きな役割を担っています。動物園や水族館の専門医として勤務する獣医師も増えています。

また、公務員として獣医師の仕事を行なう人もいます。

農林水産省で働く獣医師のメインの仕事は、家畜衛生や品質・安全確保です。国内の家畜防疫のほか、畜産物の品質・安全性の向上を目指します。

厚生労働省で働く獣医師は、食品安全のための規格設定や人獣共通の感染症対策を行なうほか、狂犬病や鳥インフルエンザの予防も業務の一つです。

地方公務員として「公衆衛生獣医師」や「家畜衛生獣医師」になる選択肢もあります。

公衆衛生獣医師は地域の公衆衛生を守るため、と畜検査員や動物愛護担当職員としての勤務がメインです。

家畜衛生獣医師は地域の生産物の安全性を守るため、家畜専門医として従事します。

民間の獣医師は地域に根差したペットの診察・治療がメインですが、公務員獣医師は国や地域の安全につながる仕事が中心です。

獣医師になるには?

獣医師として活躍するためには、まず獣医学科のある大学で6年間の獣医学教育を学びます。獣医学科のある大学は限られており、2023年現在は全国17大学で獣医学を学べます。大学によって学べる内容や設備が異なるため、行きたい大学をいくつかチェックしておくといいでしょう。

6年間の履修が完了すると、農林水産省が行なう獣医師国家試験を受験する資格を得られます。獣医師の国家試験は毎年2月に実施され、チャンスは1年に1度です。獣医師になるためには、この国家資格の合格が必須です。

ただし、合格すればすぐに獣医師として働けるわけではありません。合格後は獣医師免許の交付申請手続を行ない、農林水産大臣から獣医師免許が交付されます。その後、獣医師名簿に登録されて初めて獣医師として働けるようになります。

臨床獣医師として働く場合は、まずは家畜診療所や動物病院に勤務して経験を積むのが一般的です。そのまま勤務医として働き続ける人もいますが、多くは数年の勤務を経験したのち、独立する獣医師が多いです。

必要な資格

獣医師に必要な資格は、獣医師免許です。農林水産省が行なう獣医師国家試験に合格し、交付を申請することで獣医師免許を取得できます。

試験は2日間にわたり実施されます。試験内容は、動物の治療に必要な獣医学のほか、公衆衛生に関する知識・技能の試験と実地です。獣医解剖学や獣医生理学など17の科目に加え、倫理や法律に関する出題もあります。

獣医師国家試験の合格率は、毎年80%前後と高い水準です。大学で6年間きちんと学んでいれば、国家資格を取得するのは難しくないといえるでしょう。

また、国家公務員や地方公務員として働きたい場合は、獣医師国家試験に合格するほかに公務員試験にも合格する必要があります。

専門的な学校・学科はあるの?

獣医師になるためには、獣医学科のある大学で獣医学を学ぶ必要があります。日本国内には11の国公立大学と6つの私立大学に獣医学部があり、そのうち北海道と東北に5校が分布し、その他の大学は関東より西の地域に分布しています。

獣医学ではペットや家畜など動物の病気や治療法、品種改良などを学ぶほか、基礎医学や生物学とも通ずるところが多い分野です。ウイルスやバイオテクノロジーなどの研究も行ないます。薬品開発のため、動物の命を預かる研究を行なうこともあります。

カリキュラムは一般的に「基礎獣医学」「臨床獣医学」「応用獣医学」に分かれ、さらに専門科目として「基礎獣医学系」「臨床基礎系」「予防衛生系」「臨床系」に分かれます。大学によって多少の内容の違いはありますが、実習や実験が多いことが特徴です。

獣医師の年収・給与・収入

厚生労働省が運営する職業情報提供サイト「jobtag」によると、日本での獣医師の平均月収は約33.6万円、平均年収は約592.1万円です。開業医か勤務医かによって収入が大きく異なります。

また、公務員の場合は国や自治体の給与体系に従ったものになります。たとえば農業共済団体の家畜診療所に勤務する場合は、地方公務員の給与に準じ支払われるのが特徴です。

一般企業の場合は、企業によって給与体制にばらつきが見られます。初任給はもちろん、賞与や昇給も企業によって異なります。

小動物臨床獣医師として開業しているケースでは、診療費を自由に設定できるため給与も比較的高い水準です。しかし、人材不足や経営不振などで収入が減るリスクも考えられます。

産業動物を対象とした獣医師として開業しているケースでは、家畜共済保険制度によって診療料金が一律となっています。診療数や内容によって、収入にも大きな差が生まれるでしょう。

獣医師の社会のニーズ・将来性・まとめ

獣医師は、近年のペット需要の高まりにより、活躍の場が広がりつつあります。動物の健康を管理し、診察・治療をするにとどまらず、ペットを失ったことにより精神的に不安定になった飼い主の心のケアに力を入れている企業も増えてきました。人間と動物がより良い関係を築けることを目指した研究が求められているのかもしれません。

また、小動物臨床の現場では、夜間診療や珍しい動物の診察などを取り入れるなど、飼い主のニーズに合わせた診療やサービスの提供も増えていくと考えられます。

アニマルセラピーの需要が高まっていることも、獣医師の活躍の場が増えると予想される理由の一つです。人々をケアする動物のケアは、獣医師のサポートが不可欠です。

獣医師の働く場所は動物病院だけではありません。民間企業や公務員などさまざまな選択ができるため、知識や経験を活かした職場を選べることも魅力といえるでしょう。

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