歯科医師

歯科医師は、おもに虫歯や歯周病などの口腔治療のスペシャリストです。治療する領域は歯だけでなく、口腔内や舌、あごなども含まれます。医師のなかでも口腔周辺の健康を守ることに特化した医者です。

おもに歯科技工士や歯科衛生士、歯科助手などと協力して患者の治療にあたります。また、口腔ケアによって全身の病気の治癒効果が高まることもあり、必要な場合は内科や外科などと連携することもあります。

近年においては、治療以外に歯を白くするホワイトニングなどの審美歯科を取り入れる歯科医院や医療機関も増えてきています。

歯科医師の仕事

歯科医師は、歯科疾患の治療、指導、健康管理がおもな仕事です。診療科名は、「一般歯科」、「小児歯科」、「矯正歯科」、「歯科口腔外科」の4つに定められています。ここでは具体的な業務内容を診療科目別に解説します。

一般歯科

おもに虫歯や歯周病の治療、抜歯、歯冠(クラウン・インレー)の製作・充填、義歯(差し歯・入れ歯・ブリッジ)の製作・装着、歯石・歯垢の除去などを行ないます。

定期検診や学校などの歯科検診に携わることもあり、スケーリングやフッ素塗布などの予防措置も併せて行ないます。

小児歯科

診療所によって異なりますが、おもに乳歯が生え始める0歳頃から永久歯に生え変わる12歳頃までを対象としており、子どもの成長に合わせた治療に対応しています。

この時期のケアが将来的な口腔環境に影響を与えることが多いため、治療や予防とともに、歯並びや嚙み合わせのチェック、歯磨き指導、フッ素塗布、シーラントなどの予防措置を積極的に行ないます。

子どもに合わせた治療や指導を行なうため、安心して治療が受けられる環境や体制作りが重要となります。

矯正歯科

歯並びや噛み合わせをきれいに整えるため矯正装置を製作・装着する歯列矯正に対応しています。歯並びや噛み合わせを直すことで、虫歯や歯周病の予防になると言われていますが、審美的な部分が強いことから基本的に自費での治療となります。

歯科口腔外科

切開を必要とする親知らずの抜歯、口腔内の外相や粘膜、舌の異変などに対応します。親知らずの抜歯は「一般歯科」でも行なわれますが、歯が埋まっている、横向きに生えているなどの場合は、「歯科口腔外科」での処置が必要となります。

上記以外に見た目や美しさを追及し、歯のホワイトニングなどを行なう「審美歯科」もあります。ホワイトニングやセラミックを使用した見た目改善、インプラント治療などを行ないますが、治療を目的としていないため、自費での治療となります。

また、歯科医師は歯学部、医師は医学部を卒業することでなることができますが、法律の面では権限が及ぶ範囲がよく似ています。歯科医師志望であっても基礎科目である解剖学・生理学・病理学などは医学部同様に全身のことを学びます。

歯科医師の場合、診療権限の及ぶ範囲は限られていますが、歯科治療の行為であれば全身麻酔、呼吸管理などを行なうことが可能で、さらに要すれば死亡診断書を書くこともでき、幅広い業務に携わります。

歯科医師になるには?

歯科医師になるには、国家試験に合格し歯科医師免許を取得する必要があります。歯科大学や歯学部で6年間学び、歯科医師国家試験に合格することで歯科医師免許を取得できます。

免許取得に加えて、1年以上の臨床研修を修了することで、歯科医師として診療に従事することができます。

<h4>必要な資格(いる場合)</h4>

歯科医師になるには、歯科医師免許が必要です。歯科医師免許を取得できる歯科医師国家試験は年に1回、1月下旬または2月上旬に二日間かけて実施されます。

合格発表は3月中旬で、合格率は63~66%となっており、非常に難易度の高い試験です。また、既卒受験の場合、新卒受験と比較すると合格率が大幅に下がるため十分な準備が必要です。

また、歯科医師免許を取得することで、以下の資格も自動的に付与されます。

・食品衛生管理者

衛生上の考慮を必要とする食品・添加物などの製造・加工を行なう営業所が設置する必要がある資格です。

・衛生検査技師

病院や医療機関で検査を行なうために必要な資格です。

・衛生管理者

50人以上の就業者がいる事業所で衛生に関わる面を管理するための資格です。

さらに以下の資格の受験資格や試験の免除を受けられます。

・臨床検査技師

医師の指示に従い、患者の血液や尿・便・脳波などを検査する医療技術者に必要な資格です。

・歯科技工士

歯科医師の指示に従い、患者の口腔内の環境を整えるために必要なさまざまなものを製作する資格です。

・労働衛生コンサルタント

人々が快適な環境で働けるよう、直接職場で面談することで労働環境をチェックする業務にあたるための資格です。

専門的な学校・学科はあるの?

歯科医師になるには、歯科大学や大学の歯学部を卒業する必要があります。

大学によって、早い段階で臨床実習を行なえる、少人数教育のカリキュラムがある、医学部との合同授業を組み込んでいるなど、それぞれ特徴があります。

歯科系大学に限らず、医療系の総合大学ならではの特徴もありますので、幅広い視野で大学を選ぶ必要があります。

また、歯科医師国家試験は非常に難易度が高い試験のため、試験対策を行なっている予備校やスクールに通って試験に臨む人も多いので、その際には検討してみるのもおすすめです。

歯科医師の年収・給与・収入

歯科医師の年収などは以下の通りです。(2023年度)

初任給:約26万円

平均年収:約370万円

平均月収:約31万円

歯科医師の年収は、それぞれの働き方によって異なりますが、勤務医の場合500~700万円台が多くみられます。開業医の場合は、個々の経営状況によりますが平均年収1,000万円前後のようです。

また、インプラントや審美歯科など保険外診療の高度な専門技術をもつ歯科医師の場合は、年収が高額になる傾向があります。

全体の年収幅は約300万円~約1,200万円と比較的広く、勤務先や経験・求められるスキルによって大きな差が生まれています。

歯科医師の社会のニーズ・将来性・まとめ

生きていくうえで不可欠な機能からコミュニケーション機能まで関わる口腔の健康を守る歯科医師は、治療を通じて患者に生きる喜びを与えるという重要な役割を持っています。

虫歯だけでなく歯周病がさまざまな全身疾患のリスクに影響を与えることや、がん治療中に口腔ケアを行なうことで治療の効果が高まることが認知されてきており、健康寿命の延伸・医療費の抑制の観点から口腔健康の重要性が高まっています。

また、歯科医師は治療だけでなく、歯の健康を保つための指導も行なうため、治療や指導を通じて将来を担う子どもたちの健康を守っていくという大きな役割も持っています。それは長期にわたって患者と密接にコミュニケーションを取れる歯科医師ならではのやりがいでもあるでしょう。

歯科医師は、女性の歯科医師も増加傾向にあります。歯科医師の仕事が子どもの食育や高齢者の口腔健康にも深く関わることが女性の歯科医師の活躍の場を広げています。

今後、高齢化社会に伴い、口腔健康と全身の健康の関係性の認知によって、新しい知識と専門的な技術を身につけた質の高い歯科医師の活躍が求められます。

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