図書館司書

「図書館や本が好きなので、高校を卒業したら図書館司書の資格を取って働きたい」

そのように考えている高校生のみなさんも多いのではないでしょうか?

図書館司書は学校や公共図書館で勤務する図書の専門職です。

でも、高校を卒業してから図書館司書の資格を取得する方法って、意外にわからないものです。

そこで、この記事では、公共図書館の図書館司書にしぼって、仕事内容やなり方、年収などについて紹介します。

この記事を見て、図書館司書の仕事に就くイメージづくりのお役に立てたら幸いです。

図書館司書の仕事

図書館司書は、公立図書館の書籍・雑誌・新聞、CDなどを整理したり一般の人に貸し出したりする専門職になります。

読書会や移動図書館、コンサートの企画・運営も行ないます。

特に重要な仕事は、図書などが探しやすいよう特定の分類コードを貼り、パソコンでデータに記録することです。

資料の管理や展示、検索などのためには、欠かせない作業となります。

図書館司書のやりがいは、3つあります。

①本の魅力を伝えられる

幅広い人に本の持つ魅力を伝えられるのは、図書館司書としてのやりがいです。

図書館司書は「読み聞かせイベント」や「読書会」などで、子どもから大人までの幅広い世代に本の魅力を伝える機会があるからです。

そのような場で本を紹介して「読んだらすごい楽しかった」などの感想をもらえたときには大きなやりがいを感じます。

②本の知識が豊富になる

自分の知らないジャンルの本にも詳しくなれるのは、図書館司書のやりがいです。

図書館司書は日常的に多くの本とふれあう機会が多い仕事だからです。

自分の得意とする本だけでなく、専門書や芸術作品など他の分野の本に多く接するため、他の人より「本の知識」が深まります。

③多くの人と交流できる

多くの人と交流できるのは、図書館司書のやりがいになります。

公共施設として利用される図書館には、子どもからお年寄りまでたくさんの方が訪れるからです。

図書カウンターでの日常的な会話から顔なじみになり、「本を紹介するプロ」として頼りにされたときには大きなやりがいを感じられます。

次に図書館司書に向いている人の特徴です。

特徴はおもに3つあります。

①本が好きな人

図書館司書に求められるものは、まずは本が好きということでしょう。

昔から本をたくさん読んで育った人は名作や話題の本にも詳しいため、利用者の問い合わせにもすぐ答えられるからです。

例えば、「子どもの読書感想文におすすめの本を教えて欲しい」といった問い合わせにも詳しく答えられるでしょう。

②うまくコミュニケーションが取れる人

うまくコミュニケーションが取れる人は、図書館司書向きです。

図書館司書は接客業のため、利用者の気分を損なわない円滑なコミュニケーションが求められるからです。

利用者からのトラブルやクレームがあっても、うまくコミュニケーションが取れれば気分を害することなくスムーズな対応ができます。

事務作業が苦にならない人

図書館司書は、カウンターでの本の貸し出し・返却業務をはじめ、パソコンでのデータ入力や事務作業などの仕事が多くあります。

その他、配架や書架整理、蔵書の確認作業なども事務作業です。

そのため、毎日コツコツと事務作業を行なえる人は、図書館司書向きといえます。

ちなみに「配架」は、図書館の図書や資料をラベルの記号順に並べる作業、「書架整理」は、その順番に並んでいないものなどを正しい位置へ戻すなど本を整頓する作業のことです。

図書館司書になるには?

高校卒業後に図書館司書になるには、司書講習を受けて単位を取得し資格を得る方法があります。

司書講習とは、全国に5つある大学で行なわれる図書館の専門科目について学ぶ「集中講習」のことです。

司書補を3年以上経験したあと、司書講習を受けて資格を取ることも可能です。

司書補とは、司書の仕事をサポートする業務のことです。

資格を取ったあとは、公立図書館の司書なら「地方公務員試験」か「地方自治体の採用試験」を受けます。

試験の内容はともに、一次試験と二次試験があります。

一次試験は筆記試験、二次試験は面接です。

筆記試験は過去の試験問題を調べることができるので、対策しておくことをおすすめします。

ただし、地方公務員試験の場合、司書資格をもっていてもすぐに司書として採用されない可能性があることは覚えておきましょう。

その他、地方自治体から図書館業務を委託している会社に就職する方法もあります。

ちなみに大学や短大に進学してから図書館司書の資格を持つなら、司書資格を得るために必要な科目の単位を取り卒業することが条件です。

必要な資格

図書館司書に必要な資格は上記以外に特にありませんが、取っておくと図書館の採用試験や収入を上げるきっかけとなる資格はいくつかあります。

おもな資格を2つ紹介します。

①TOEIC® Listening & Reading Test

英語のコミュニケーション能力を幅広く試す、世界共通のテストです。

面接でのアピールや、図書館司書としてのステップアップとして私立大学図書館や研究機関で働く場合に、持っておくと良い資格になります。

試験はリスニング約45分間とリーディング75分間で、マークシートで問題を解いていきます。

テスト結果は10点〜990点で表示され、現在の英語力を客観的に把握するのに役立つものです。

テスト申し込みはTOEIC申し込みサイトの会員登録後、支払い手続きをすることで完了します。

受験料は、7,810円(税込)です。

受験資格は特にないので、学生のうちに受けておきましょう。

②児童図書館員養成専門講座

公共図書館の児童サービスを行なう人材の養成を目的として開かれる講座です。

講座に応募するには、「講座を必要とする理由」や「課題図書を読んでの感想」などについての課題が課されます。

参加費は6万円です。

受講の条件は司書の有資格、公共図書館職員として5年間以上の勤務経験、公立図書館の児童サービス担当を2年以上の経験が必要になります。

講座を修了すると修了証をもらえるので、児童図書館員としてのアピール材料となります。

専門的な学校・学科はあるの?

図書館司書になるための勉強をするなら、大学や短大で学び単位を取得することが必要です。

ただ、図書館司書について専門的に学べる学科があるところは、全体的に少ない傾向にあります。

そのため、ほとんどの場合は文学部などでの学科を専攻しながら、「司書養成科目」を選んで単位を取ることになります。

司書養成科目が大学にない場合は、毎年7〜9月に行なわれる「司書講習」を受けることで単位を取ることが可能です。

図書館司書の年収・給与・収入

図書館司書の年収は地域や採用形態によって異なりますが、平均的には約400万円ほどが相場です。

月収にすると30万円ほどです。

ただ、この数字は正確ではありません。

ハローワークの求人統計データが示す図書館司書の月額平均は、20.8万円となっており、年収は250万円ほどにしかならない計算です。

理由として考えられるのは、公共図書館で働く人が非正規職員化していることにあります。

図書館司書として収入を上げたいなら、司書としての仕事ぶりを認められるか、スキルアップして図書館館長になるのが近道です。

また、私立大学の図書館に転職して司書になる方法もあります。

現在は司書資格にプラスして英語などの専門能力があれば、高待遇で仕事ができる私立大学もあります。

図書館司書の社会のニーズ・将来性・まとめ

図書館司書の仕事は、これからもなくなることはないでしょう。

文部科学省の報告によれば2022年の図書館数は3400館と、2018年の3360館と比べて1.2%も増加しているからです。

そのため、本を求める人に適切な情報を提供する専門家としての司書の役割はますます求められているといえます。

しかし、図書館司書として正規で働く人の数は年々減りつつあり、現在では非正規雇用の割合が増えています。

図書館などの公共施設の運営を民間企業に任せる「指定管理者制度」の影響で、コストの高い正規公務員を雇わなくなっているからです。

また、図書館数の割には利用者数が少ないという問題もあります。

その原因は、借りたい新刊をなかなか借りられない予算組みの問題です。

これから図書館司書を目指す方は待遇の改善を考えつつ、司書の資格だけでなく高度な専門能力を身につけておく必要があります。

また、利用者に対して、適切なサービスを提供する方法を考えることも大切です。

図書館司書は知的財産である「本の専門家」として素晴らしい役割をもつ仕事なので、臆することなく挑戦してください。

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