不動産鑑定士

不動産鑑定士の仕事

不動産鑑定士とは、土地や建物といった不動産の鑑定を行ない適正な金額を算出する、国家資格を持ったスペシャリストです。

不動産鑑定士の仕事は、大きく分けると「鑑定評価業務」と「調査・分析・コンサルティング業務」です。

①鑑定評価業務

鑑定評価業務とは、不動産の経済的な価値を評価し、その価値を価格として示すことです。国や地方自治体から依頼を受ける「公的評価」と、個人や会社から依頼を受ける「民間評価」に分けられます。

公的評価とは、定期的に行なわれる「地価公示」や「都道府県地価調査」、「相続税標準地・固定資産税標準宅地の評価(路線価)」などです。国や地方自治体が、土地の適正な価格を公表するために実施します。相続税や固定資産税算定の基準にも使われ、一般的な不動産取引のときにも参考にされる非常に重要な仕事です。評価額を決定して不動産鑑定評価書を作成することは、不動産鑑定士だけに認めらた業務です。

民間評価は、個人や会社が不動産取引をするときに不動産の鑑定を行なうものです。例えば不動産の売買や賃貸借をするときに適正な価格がわかれば、双方が納得する価格を算定できますし、安心して取引を進められます。また、相続や担保の設定、証券化を行なう場合には、不動産の価格が重要な要素となるため中立・公平な立場で不動産の評価を実施する役割も担っています。

②調査・分析・コンサルティング業務

不動産鑑定士は不動産に関するエキスパートとして、不動産の有効活用や開発計画に関する相談などにも応じています。鑑定評価業務で得た知識やノウハウを活かして、さまざまな側面から不動産に関するあらゆる調査・分析を行ない、リスクや価値、対応策をアドバイスします。

近年不動産業界でも投資のグローバル化が進み、国内の投資家が海外の不動産に投資をすることも増えています。そのときにも海外の不動産の調査・評価を行なうのは、不動産鑑定士の仕事です。

不動産鑑定士になるには?

不動産鑑定士として仕事をするためには、2つのステップを踏む必要があります。

まずは、不動産鑑定士試験に合格することです。

不動産鑑定士試験は、学歴や年齢、国籍などに関係なく誰でも受験が可能となっています。試験は毎年1回のみで、5月中旬に1日間のマークシートによる短答式試験を行い、短答式試験の合格者のみを対象として8月上旬に3日間の論文式試験が実施されます。論文式試験が不合格となってしまった場合でも、2年間は短答式試験が免除され、論文式試験に挑戦できます。

短答式試験の合格率は平均30%台で、500人~600人が合格しています。そして、論文式試験の合格率は平均15%~17%で、合格者は100人~130人です。

次に試験に合格したら、所定の機関で講習を受けなければなりません。1年/2年の2つのコースが用意されているので、仕事や家庭の状況に合わせて選択ができます。そして最後に修了考査が行なわれ、無事合格すると不動産鑑定士として登録ができます。

必要な資格

不動産鑑定士試験は学歴や年齢、国籍など問わず誰でも受験が可能なため、特に受験資格は必要ありません

なお、法律学・経済学・商学に関する博士の学位を授与されている人や司法試験合格者、公認会計士試験合格者などは、一部科目の免除を申請することができます。

専門的な学校・学科はあるの?

不動産鑑定士に特化した専門的な学校はありません。しかし、不動産鑑定士の試験は経済学や会計学、法律問題が中心の試験になっているので、法学部や経済学部、商学部などを修了した人は有利かもしれません。

短答式試験は、実際に不動産の鑑定評価を行なうときにどのような手順で実施するかの知識を問われる「鑑定理論」と、不動産に関する「行政法規」(土地基本法、都市計画法、建築基準法など37法令)から出題され、出題数や配点は半分ずつです。

論文式試験は、民法・経済学・会計学・鑑定理論から出題されます。そのなかでも鑑定理論は論文と演習の2通りで出題され、配点もかなり高くなっています。

不動産鑑定士試験合格に必要な勉強時間は、法律や経済学、会計学の知識の基礎的な知識により個人差はありますが、2,000~3,700時間が目安です。仮に1年間に2,000時間と考えて、一日あたり5~6時間です。合格者の平均年齢が30代後半であることを考えれば、仕事をしながら勉強している人が多いと推測できます。自己学習で勉強のスケジュールを組むのが難しいと判断すれば、通信講座の受講やスクールへの通学なども選択肢に入れる必要があります。

不動産鑑定士の年収・給与・収入

不動産鑑定士の平均年収は、約750万円です。ただし、年収は働き方や経験年数により異なり、独立して開業すれば年収は高くなる傾向にあります。

公的評価については、国や各地方自治体が公募している場合もありますので、応募条件が合えば積極的に参加をすることで、仕事を増やしていくことができます。また、固定資産税算定の基準となる固定資産税評価額は3年に一度見直されます。評価替えにあたる年は公的評価の依頼が増えるため、他の年度よりも高収入が期待できるでしょう。

民間評価の報酬はさまざまですが、一般的には評価対象の不動産の種類や評価額に応じて変動します。例えば、評価額2,000万円の土地の所有権に関する報酬は20万円前後です。しかい、同じ評価額2,000万円でも、マンションの所有権に関する報酬は40万円前後となります。報酬額が上がる分だけ、評価にかかる作業量や業務内容の難易度が上がります。民間評価に関わる業務は、専門性を高めることで収入も上げることもできるでしょう。

不動産鑑定士の社会のニーズ・将来性・まとめ

公的評価は定期的に行なわれており、不動産鑑定士の独占業務になっていることからも、不動産鑑定士のニーズは高いと考えられます。また、全国で不動産鑑定士として登録している人数は約8,500人ですが、60歳以上が4割以上を占めるとされています。公的評価の公募条件として年齢が設定されているものもあるので、これから資格を取得しても活躍できる場面は期待できるでしょう。

また、環境・社会・ガバナンスへの配慮を求めるESG投資も重要視され、ESG投資を意識した不動産評価への期待が高まっています。今後は、さらなる鑑定評価の高度化が求められるとともに、鑑定の需要が増える可能性もあるでしょう。さらに、少子高齢化社会への対応として、リバースモーゲージという新たな不動産有効活用に関するシステムも生まれており、それにともなう不動産の鑑定の依頼も増えることが期待できます。既存の仕事だけでなく、新しいことにもチャレンジしていくことが、今後不動産鑑定士として活躍する鍵になるでしょう。

しかし一方では、AIやICTに代替されるリスクが検討されることも多く、不動産鑑定士への影響も懸念されています。不動産の評価業務のなかで、機械的に分析・評価できるものはAIで対応できるかもしれません。しかし、不動産の評価にあたってはさまざまな不確定要素を考慮する必要もあるので、引き続き不動産鑑定士の需要はあるものと考えられます。

これらの状況を踏まえると、不動産鑑定士として活躍するためには、専門性の高い新しいジャンルにチャレンジしていくのも一つの選択肢かもしれません。さらに、不動産鑑定では価格の提示に加えて、専門性を活かしたコンサルティングを求めるニーズもあることから、調査・分析・コンサルティング業務にも力を入れることも選択肢の一つでしょう。

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