ツアーコンダクターとは、旅行会社のツアーに同行し、旅行客のスケジュール管理や旅行手続きを行なう職業です。別名「ツアコン」や「旅行添乗員」とも呼ばれます。
添乗員付きのパッケージツアーや法人・学校などのオーダーメイド型旅行といった団体旅行に添乗し、事前に決めたスケジュールどおりに、滞りなく催行できるように管理・サポートするのがおもな業務です。
ツアーコンダクターの仕事
ツアーコンダクターは、旅行者のスケジュールを立てて、安全かつ快適な旅をサポートするのが仕事です。個人旅行や団体旅行においても、お客様に同行して旅行に関するお世話をする人をツアーコンダクターと呼びます。
ツアーコンダクターの具体的な仕事は次のとおりです。
- 旅行の総合案内
お客様に対して旅程の説明をし、集合場所や集合時間、またアクティビティの内容などを具体的に説明します。旅行の内容や旅程を正確に把握することはもちろん、事前に決められたタイムテーブルどおりにお客様をスムーズに誘導、案内することがツアーコンダクターにとって重要な業務といえるでしょう。
- チケットの手配と管理
ツアーコンダクターは、旅行中に必要となる飛行機や電車、船、バスなどの移動チケットをはじめ、観光地の美術館や博物館、テーマパークなどのチケットの手配も行なわなければなりません。
現地、もしくはオンライン上で事前に必要な枚数のチケットを購入し、お客様に配布します。
- ホテルのチェックインや注意事項の説明、朝食場所の案内など
ホテルのチェックインもツアーコンダクターにとって重要な仕事の一つです。ルームキーを配布し、ホテルで過ごす際の注意事項や主要な施設の場所や使い方、そしてインターネットの利用方法などについて説明します。
チェックアウトをお客様自身で行なう必要がある場合は、チェックアウトの日時や方法についても説明し、お客様が困らないようサポートします。
- お客様の安全管理や健康管理
安心、安全に旅行を楽しんでもらうために、お客様の安全管理や健康管理を行なうのもツアーコンダクターにとって大切な仕事です。移動する際は、お客様が全員いるかを常にチェックし、点呼を行ないます。
体調の悪そうなお客様がいた場合は、積極的に声かけをして適切な対応をします。必要に応じて現地の病院への問い合わせや搬送などのサポートも求められるでしょう。
- 旅行中のトラブル対応
旅行中のケガや病気をはじめ、ホテルの部屋の不具合や紛失物、さらに事故や事件に巻き込まれた際などのトラブルに対して真摯に対応する必要があります。
トラブルが起こらないように未然に予防することが重要ですが、いくら注意していても問題は発生してしまうものです。どのような状況でも冷静に対処していくスキルや力量が求められます。
ツアーコンダクターとよく混同しがちな職業である「ツアーガイド」ですが、ツアーガイドが旅先の観光事情に特化して案内サービスを実施するのに対し、ツアーコンダクターは出発から帰着まで旅全体のサポートを実施する点が大きな違いです。
ツアーコンダクターになるには?
ツアーコンダクターになるために必須の学歴はないため、高校卒業、専門学校卒業、短大卒業、もしくは大学卒業のいずれも場合も、18歳以上であればツアーコンダクターになれます。
ただし、取得しなければならない資格は存在するため注意が必要です。資格については次の章で詳しくご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
必要な資格
ツアーコンダクターになるために必須の資格は「旅程管理主任者資格」です。この資格は、旅行会社が企画するツアーや団体旅行に同行するツアーコンダクターが必ず取得しなければならないものです。
旅程管理主任者資格は、観光庁が認定した企業や学校などの登録研修機関において指定された研修修了後、実地研修(実務経験)を積むことで取得できます。基本的に、受験する期間は限定されておらず、資格取得のための研修に参加できるのが特徴です。
ちなみに、旅程管理主任者資格には、次の2種類が存在します。
- 国内旅行のみに添乗できる「国内旅程管理主任者資格」
- 国内旅行と海外旅行の両方に添乗できる「総合旅程管理主任者資格」
2つの資格の違いについて詳しくみていきましょう。
国内旅程管理主任者資格 | 総合旅程管理主任者資格 | |
適用範囲 | 国内旅行のみ | 国内・海外旅行ともにOK |
条件 | 年齢制限なく取得可能 | |
研修内容 | A. 基本研修B. 応用研修C. 実地研修 上記3ステップで研修が実施される | |
難易度 | 簡単に取得可能 | 比較的簡単に取得可能※英語試験あり |
取得期間 | 4日〜 | 7日〜 |
費用 | 2万5,000円〜 | 10万円〜 |
国内旅行のアテンドのみを行ないたい場合は、国内旅程管理主任者資格を取得すれば問題ないでしょう。海外旅行の添乗も視野にいれたい方は、総合旅程管理主任者資格を目指してください。
ただし、総合旅程管理主任者資格には英語試験が含まれていること、さらに海外の実地研修が必要なため費用もかかってしまうことなどの注意点があります。英語力や費用面で不安のある方は、まずは国内旅程管理主任者資格を取得して経験を積むのがおすすめです。
国内旅程管理主任者資格を取得していれば、基本研修と応用研修のうちの2科目が免除されます。また、総合旅程管理主任者資格を取得したからといって、すぐに海外旅行の添乗ができる訳ではありません。国内でのアテンド経験を着実に積んでから取得してもまったく問題ありませんので、手始めに国内旅程管理主任者資格の取得を検討してください。
専門的な学校・学科はあるの?
旅行を専門に学べる専門学校は全国に存在します。また、社会人を対象にしたビジネススクールなどでもツアーコンダクターになるための授業を提供しているところもあるため、他業種から転職したい方にもおすすめです。
また、旅行や観光を専門に学べる大学や短期大学へ進学する方法もあります。観光学部や人間文化学部、社会学部や国際学部、商学部などで観光学を学べるでしょう。
ツアーコンダクターの年収・給与・収入
厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagによると、ツアーコンダクターの平均年収は約386万円であるとわかります。
ツアーコンダクターは、ツアーコンダクターの派遣会社に所属し、ツアーごとに派遣されて働く方が多くを占めます。派遣会社に所属する場合は、日給が原則で、旅行の種類やツアーコンダクターとしての経験、そして資格の有無によって金額が大きく異なるのが特徴です。
旅行会社に所属してツアーコンダクターとして働く場合は、月給に対して添乗日数が日当として加算されるケースがほとんどです。
ツアーコンダクターの社会のニーズ・将来性・まとめ
近年は、ウィズコロナ時代を迎え旅行の需要も高まっているなかにあって、大手旅行代理店以外にも、インターネットの普及により手軽に申し込める旅行会社が増加していることが影響し、若年層の団体旅行は減少傾向にあります。
そんななか、特に注目されているのがシニア層の旅行需要です。シニア層の多くは団体旅行に申し込む傾向がありますので、ツアーコンダクターの需要は年々高まっていくと予想されています。
また、海外からの旅行客を対象としたインバウンド向けの需要も高まっており、日本の魅力を伝えるツアーコンダクターの役割は今後さらに大きくなるでしょう。
ツアーコンダクターは働きながらさまざまなエリアを訪れることができる魅力的な仕事です。その仕事をさらによりよいものにするために、ツアーコンダクターに必須の旅程管理主任者資格のほか、TOEIC®︎などの英語に関する資格や世界遺産検定などの資格を取得してスキルアップしていきましょう。
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