ゲーム業界に関心があるので高校を卒業したらゲームに関係する仕事に就きたい、と考えている高校生の皆さんは多いのではないでしょうか。
ゲームデザイナーは、ゲームのキャラクターなどを設計する仕事です。
「でも、ゲームデザイナーって、そんなに簡単になれるものなの?」
この記事では、ゲームデザイナーの仕事内容やなり方、学べる学校や将来性について紹介します。
この記事を見て、ゲームデザイナーになるためのイメージ作りのお役に立てれば幸いです。
ゲームデザイナーの仕事
ゲームデザイナーは、ゲームの物語や世界観、システムなどゲーム全体の設計を行なう仕事です。
ゲームデザイナーのおもな業務は4つあります。
①企画書の作成
ゲームデザイナーの仕事の1つめは、企画書の作成です。
企画がしっかりしていないと、ユーザーの求めている作品は作れません。
そのために市場調査を行ない、「ユーザーが求めているゲーム」を深堀りすることが大切です。
そして、市場調査でユーザーの求めているものがわかったら、ゲームディレクターと協力しながら商品として販売可能なゲームの企画書を実際に作っていきます。
ゲーム制作がうまくいくかいかないかは、企画書の内容次第です。
②社内向けプレゼンテーション
企画書を作成したら社内プレゼンテーションのために、関係者と綿密な打ち合わせを行ないます。
社内向けプレゼンテーションで企画が通らなければ、せっかく作ったゲーム案が台無しになってしまうからです。
プレゼンテーションの際には、「企画したゲームの世界観」や「面白さ」を説得力をもって魅力的に伝える必要があります。
そして、GOサインが出たら実際にゲーム制作に入っていきます。
③仕様書の作成
制作スタート時には、ゲームプログラマーやキャラクター担当者に渡す仕様書を作る必要があります。
制作に入っても仕様書がなければどのようなストーリーなのか、どのような仕組みなのかを担当者が把握できないからです。
仕様書には具体的に、「ゲームの進行表」「デザインの方向性」「場面ごとの効果音」などが書かれています。
④発売後の分析
ゲームデザイナーは、ゲームが完成したら終わりではありません。
ゲームディレクターとともに、発売後の売れ行きや作品の反響を分析し、次に作るゲームの企画に活かさなければならないからです。
次にゲームデザイナーのやりがいについて紹介します。
やりがいは3つです。
①ゲームを初めから企画できる
ゲームデザイナーのやりがいの一つは、ユーザーの求めるゲームを企画段階から手がけられるところです。
ゲームをおもしろくするために考え続け、企画したゲームの世界観が形になったときには達成感を感じられます。
また、少しでも自分がゲームに取り入れたかったデザインなどを入れ込むことができたら、それも喜びとなるでしょう。
②多くのスタッフと関われる
多くのスタッフと関わるのもやりがいです。
ゲーム制作の現場は、ゲームディレクターをはじめ、シナリオライター、ゲームプログラマー、グラフィックデザイナー、サウンドクリエイターなどの制作チームと連携します。
それらのメンバーと関わりながら、一つの作品を完成させることができるのはやりがいです。
③ユーザーの反応がわかる
完成したゲームに対するユーザーの反応がわかるのはやりがいとなります。
店等で自分の作品を手に取ってながめているユーザーを見たり、SNSで自分の作ったゲームが高い評価をもらったりするのは、うれしい瞬間です。
ゲームデザイナーになるには?
ゲームデザイナーになるためには、まずは制作スタッフとして働くのが近道です。
具体的には、ゲーム制作会社でゲームプログラマーやCGデザイナー、サウンドクリエイターなどの職を経験する必要があります。
ただし、これらの仕事に就くためには専門的な知識が必要なため、大学や専門学校で学んでからでないと厳しいかもしれません。
大学や専門学校に入学することも視野に入れておきましょう。
ここでゲームデザイナーに向いている人の特徴を4つあげます。
①ゲームが好き
ゲームデザイナーになるためには、ゲームが好きなことが最低条件です。
なぜなら、ゲームデザイナーは、プレイヤーに楽しいと思ってもらえる企画を考えなければならないからです。
ゲームを知らない人が新しいゲームのアイデアを考えたとしても、ユーザーの心に本当に響くものは生まれません。
また、企画を出し続けても通らないようなときにも、「ゲームが好き」という気持ちがあれば乗りきれます。
②好奇心が強い
好奇心が強いこともゲームデザイナー向きといえます。
自分のなかにあるアイデアだけでなく、「世の中で今何が流行しているのか」を常に知ろうとする姿勢がないと新しいものを取りいれられないからです。
普段からさまざまなことに興味を持っておく必要があります。
③人とコミュニケーションを取るのが好き
人と話すことが好きならゲームデザイナー向きです。
ゲームデザイナーは多くのメンバーと会話を交わして、一つの方向に向かわなければなりません。
ときには、厳しい意見を言ってメンバーに動いてもらう場面も出てくるでしょう。
そんなときに、相手の気持ちをくみ取り、うまくコミュニケーションを交わすことが必要になります。
④体力と精神力
ゲームデザイナーは、体力がなければ務まらないところがあります。
ゲームの制作をするなかで、思いどおりに進行していないときには、ゲームデザイナーも一緒になって深夜まで作業することが多いからです。
粘り強く取り組む精神力も必要です。
<h4>必要な資格(いる場合)</h4>
ゲームデザイナーになるために取っておいたほうがよい資格は4つあります。
①Illustrator®クリエイター能力認定試験
株式会社サーティファイの行なう「Illustrator®」の活用能力を試す資格認定試験です。
スタンダードとエキスパートの2つの試験があります。
スタンダード試験では、「Illustrator®の基本的な操作方法」「指示どおりの作業を正確かつ効率的に行なう能力」が問われます。
受験料は7,600円です。
エキスパート試験では、「DTP/Webデザインの基礎知識」「デザインや表現の目的に応じた最適な機能の選択」などが問われます。
ちなみにDTPとは、パソコン上のデータで印刷物をつくる技術のことです。
受験料は8,600円です。
②Photoshop®クリエイター能力認定試験
同じく株式会社サーティファイの行なう「Photoshop®」を使ってコンテンツをつくる能力を試す試験です。
スタンダードとエキスパートの2つの試験があります。
スタンダード試験では、「Photoshop®の基本的な操作方法」「指示書に基づく制作」などの実技・実践、基礎知識が出題されます。
受験料は7,600円です。
エキスパート試験では、「DTP/Webデザインの基礎知識」「デザインの目的ごとに適切な機能が使えるか」の実技・実践、基礎知識が問われます。
受験料は8,600円です。
③CGクリエイター検定
CGーARTS(公益財団法人画像情報教育振興協会)が主催する資格試験です。
CG理論の知識や効果的にCGソフトを使う技術などが問われます。
試験はベーシックとエキスパートの2つの試験があります。
ベーシックでは、「デザインの基礎知識」「CG制作に関する知識」が問われます。
受験料は5,600円です。
エキスパートでは、「3次元CGや映像制作の専門的な理解」「3次元CG技術の応用能力」が問われます。
受験料は6,700円です。
④マルチメディア検定
同じくCGーARTSが主催する資格試験です。
マルチメディアや情報技術に関する知識などが問われます。
試験はベーシックとエキスパートの2種類があります。
ベーシックでは、「マルチメディアやインターネットの基礎理解」「知識を使う能力」が問われます。
受験料は5,600円です。
エキスパートでは、「マルチメディアを使った専門的な知識の理解」「知識をビジネスに応用する能力」などが問われます。
受験料は6,700円です。
①〜④の資格はどれも受験資格の条件などはないので、就職前に取っておけば面接でアピールすることができるはずです。
専門的な学校・学科はあるの?
ゲームデザイナーに関する知識を学ぶならば、大学や専門学校へ進む道があります。
大学ならば、理工系の情報科学や情報工学科、芸術学科などがあります。
芸術学科のなかには、実際に企画書をもとにゲームを開発したり、ゲームのキャラクターやグラフィックデザインの勉強をしたりする授業、ゲームの最新技術を学ぶプログラミング授業などを通して、ゲームデザインに必要な技術を身につけていく学校があります。
専門学校はゲーム制作の仕事に就くことを前提とした、より実践的な学校が多い傾向です。
なかには有名ゲームメーカーと教育連携し実際にプロが使用する開発環境を提供している学校もあります。
ゲーム会社からの直接の依頼で、学生たちがチームを組んで実際のゲーム作りをする授業は魅力的です。
ゲームデザイナーの年収・給与・収入
ゲームデザイナーの年収は、ゲーム会社の規模によっても異なりますが、平均で約500万円ほどです。
月収に直すと、40万円ほどになります。
また、新卒の初任給は20万円ほどが相場です。
平均年収はほかの業界より高いとはいえ、さらなる収入アップを目指したい方は、現場のゲーム開発メンバーを束ねる「ゲームディレクター」や、ゲーム制作のスケジュール・予算管理・広報活動を行なう「ゲームプロデューサー」などの管理職につくことで年収をあげることも可能です。
また、有名ゲーム会社に転職して、年収アップを図る方法もあります。
ゲーム業界は実力がものをいう世界なので、スキルが高ければ採用されることも夢ではありません。
ゲームデザイナーの社会のニーズ・将来性・まとめ
現在普及しているゲームは、家庭用ゲームだけでなく、スマホアプリやNFT、VRを用いた新しいゲームなど、大変幅広く普及しています。
そのほかにも、世界で約30億人以上の競技人口があるといわれるeーsportsの盛り上がりもあり、今後ゲーム業界がなくなることは考えづらい状況です。
そのため、今後もゲームデザイナーの仕事はなくならないといえます。
これからゲーム業界にデザイナーとして就職するならば、最新技術の習得だけでなく、海外のゲーム業界とやりとりするための英語力、論理的思考力や分析力が必要です。
もし、高校を卒業してゲームデザイナーを目指すなら、あらゆる知識を吸収しながら自分のものにしていく姿勢が必要になるでしょう。
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