ブライダルコーディネーター

ブライダルコーディネーターの仕事

ブライダルコーディネーターは、結婚式全般にまつわるアドバイザーです。ウエディングプランナーや、ウエディングプロデューサーと呼ばれることもあります。ブライダルコーディネーターの仕事は、結婚式を予定しているお客様に対して、挙式・披露宴の企画・演出や式の進行、衣装や装飾品、引き出物の手配など、結婚式に関するありとあらゆる相談に応じることです。

お客様の希望に寄り添ったプランを提案する必要があり、確かな知識や提案力が求められます。また、打ち合わせのなかでお客様の要望にしっかりと耳を傾けるヒアリング力や、新郎新婦に信頼されるためのコミュニケーション能力も必要です。新郎新婦と打ち合わせを何度も重ね、理想の結婚式の実現に向けて企画・提案・段取り・手配など、さまざまな業務をこなしていきます。

挙式・披露宴の当日は、さらに大忙しです。受付のセッティングからはじまり、衣装の着付けやメイクアップ、控室や両家紹介、座席や引き出物の確認など、数十種類以上もの項目を進行管理する必要があります。また、式場スタッフをはじめ、司会・カメラマン・牧師など、さまざまな人と打ち合わせを行ない、式が滞りなく進行するよう奔走します。

ブライダルコーディネーターの多くは、ホテルの宴会部門や、結婚式場の営業部に所属します。ホテルや結婚式場の規模によっては、挙式・披露宴の企画立ち上げから終了までの全工程を1人で担当するケースもあるでしょう。

近年は結婚式に対するニーズが多様化しており、お客様の要望に寄り添い、新郎新婦の理想を形にする力が求められます。特に最近は、プラネタリウムやスタジアム、古民家など、結婚式場以外で挙式をしたいという需要も増えているため、特定のホテルや結婚式場などに勤務するのではなく、フリーのブライダルコーディネーターとして働く道もあるかもしれません。

実は、海外では新郎新婦が自分たちで結婚式を企画するケースが多いため、フリーのブライダルコーディネーターは一般的な職業として認知されています。日本でも近年はフリーのブライダルコーディネーターの数が増加しており、新郎新婦の希望に対してフレキシブルに対応できる点がメリットです。

とはいえ、いきなりフリーのブライダルコーディネーターとして活躍することは難しいため、やはりまずは結婚式場やホテルなどに就職し、経験や知識を身につけていくとよいでしょう。

ブライダルコーディネーターになるには?

ブライダルコーディネーターとして働くために、特別な資格は必要ありません。大学・短大や専門学校を卒業したあと、ホテルや結婚式場に就職するケースが一般的です。また、なかには他業種からブライダルコーディネーターへ転職する人もいます。ブライダルコーディネーターは新郎新婦と密に接する職業なので、接客業や営業職の経験者が重宝される傾向にあります。

ただし、関連資格である「ブライダルコーディネート技能検定」を取得すると、知識やスキルの証明に役立つ可能性があります。ブライダルコーディネート技能検定は、公益社団法人日本ブライダル文化振興協会が実施する国家検定です。1級~3級までの等級にわかれており、3級は「ブライダル事業関連業務に従事している者および従事しようとしている者」であれば誰でも受験できます。なお、1級を受験するためには、少なくとも2年以上の実務経験が必要です。

試験では学科試験と実技試験が行なわれ、2級以上の実技試験では顧客からの要望の聞き取りや提案といったロールプレイ形式での出題となります。

ブライダル関連の資格では、そのほかに全米ブライダルコンサルタント協会(ABC協会)が実施する「ABC協会認定ブライダルプランナー検定」が有名です。国際的な資格なので、海外での活躍を目指す人にもおすすめです。

専門的な学校・学科はあるの?

ブライダルコーディネーターとしてのスキルや知識を身につけるなら、ウエディング・ブライダル関連の専門学校へ進学するとよいでしょう。また、ホテルや観光、外国語の専門学校のなかには、ブライダルコーディネーターの養成課程が設けられているところもあります。ホテルへの就職を目指すのであれば、接遇やマナーをひととおり学べるホテル専門学校への進学もおすすめです。

専門学校に通う場合、1年目はおもに結婚式・披露宴に関する基礎知識や接客力、プロモーション力などを身につけ、2年目以降はより実践的な経験を積むケースが一般的です。なかには企業と業務委託契約を結び、実際の結婚式場でアシスタントとしての経験を積める学校もあります。同級生と協力して結婚式をプロデュースしたり、企業との共同プロジェクトに携われたりと、個性豊かなカリキュラムが用意されている学校も多く、同じ目標を持つ仲間と一緒に、楽しみながら実践力を磨けるでしょう。

カリキュラムによっては、上記のブライダルコーディネート技能検定をはじめ、サービス接遇検定やブライダルフラワーアレンジメントなど、さまざまな関連資格を取得できる学校もあります。

ブライダルコーディネーターの年収・給与・収入

ブライダルコーディネーターの平均年収は約366万円とされています。日本の平均年収が461万円であることを考えると、ブライダルコーディネーターの収入はやや低い傾向にあるといえるでしょう。

正社員に限ってみると、初任給は23万円程度の場合が多く、年収のボリュームゾーンは348万円~381万円です。

パートやアルバイトとして働く場合は、時給996円が相場です。ただし、時給に関しては地域差が大きく、関東地方の平均時給は1,201円、近畿地方の平均時給は1,051円とされています。

ブライダルコーディネーターは見積もり・相談から顧客対応を担当するため、ホテルや結婚式場にとっては営業的な側面の強いポジションです。収入アップを目指すためには知識や経験はもちろん、新規顧客の獲得数も重要です。就職先によっては、式場の契約金額に応じた成果報酬制を採用しているところもあります。ブライダルコーディネーターとして活躍するためには、式場の営業担当として、売上に貢献することも大切です。

ブライダルコーディネーターの社会のニーズ・将来性・まとめ

ウエディング業界は、社会情勢や景気動向に左右されやすい業界の一つです。近年は経済不安や未婚率の増加にともない、結婚式の件数や費用が減少傾向にあります。日本でもバブル期には豪華な結婚式が好まれましたが、現在は家族や親しい友人のみで行なう小規模な結婚式の需要が高まっています。

こうした動向から、今後、ブライダル市場は縮小されていくのでは?という予想が立てられることもあります。しかし、結婚式の件数や費用が減ったとしても、結婚式をあげるカップルがゼロになることはないでしょう。さらに、結婚式に対する出費は二極化が進んでおり、前述のように小規模な挙式をあげるカップルも多い一方、豪華でリッチな結婚式をあげるカップルも決して少なくありません。

また、規模だけでなく、海外ウエディングやカジュアルなパーティ形式など、結婚式や披露宴は多様化しています。なかには結婚式を行なわず、スタジオや新婚旅行先で記念写真を撮影する「フォトウエディング」を選択するカップルもいます。

従来の結婚式は、ホテルや結婚式場であらかじめ用意されたプランをカスタマイズするケースが一般的でした。しかし、近年はお客様の要望に合わせて結婚式を1からつくり上げていくケースが増えています。結婚式に対するニーズが多様化する現代において、対新郎新婦のよき相談役であるブライダルコーディネーターは、今後ますます活躍の場が増えていくことでしょう。

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