京都の伝統工芸品を知る(8)~京焼、清水焼・京扇子、京うちわ~

古都、京都には歴史ある伝統工芸が数多く存在しています。

京都の伝統工芸は日本のみならず海外にも注目されており、技術の高さとその優美さ、伝統を守り続ける姿勢が高く評価されています。

本記事では、そんな京都の伝統工芸を代表するもののひとつ、「京焼・清水焼」、「京扇子、京うちわ」についてまとめました。

どちらも、京都の「京もの指定工芸品」に指定されている重要な伝統工芸です。

京焼・清水焼について

京焼・清水焼について下記の内容にまとめました。

  • 京焼・清水焼とは?
  • 京焼・清水焼の歴史
  • 京焼・清水焼の製造工程について

それぞれ解説します。

京焼・清水焼とは?

京焼・清水焼とは陶磁器のひとつで、主に京都市周辺で作られているものを指します。

京焼・清水焼といった二つの呼び名が混在していますが、そもそも古くから京都で作られた焼き物を京焼、清水寺の山道周辺で作られていたものが清水焼と呼ばれていました。

しかし、現在では日吉・五条坂・宇治の炭山などに点在する窯元で焼かれている陶磁器を総称して、「京焼・清水焼」と呼ぶようになっているようです。

焼き物は日本全国にさまざまなブランドが存在していますが、京焼・清水焼の最大の特徴は、その多様性です。

ひとつのデザインや方向性に縛られることなく、染付や天目、青磁、粉引、さらに色絵陶器など多種多様なスタイルの焼き物が京焼・清水焼には存在しています。

窯元がそれぞれ個性を発揮できるところが京焼・清水焼の魅力であり、一括りにできない面白さがあります。

京焼・清水焼は、古くから手作業で焼くことに力を入れる焼き物文化であり、今もなおその伝統は守り続けられているところが特徴です。

一流の料亭や華道、茶の湯文化など、陶磁器を利用する機会の多い京都。京都の文化が発展し続けた中で、京焼・清水焼も発展を遂げていったと考えられるでしょう。

京焼・清水焼の歴史

京焼・清水焼は今日の京都の伝統工芸を代表する存在となっていますが、その歴史は奈良時代にまで遡ると言われています。

京都はそれら時代、さらに平安時代にはすでに焼き物が作られていたと言われており、安土桃山時代に普及した茶の湯文化によって需要を高めていきました。

当時、粟田口焼をはじめ、楽焼や押小路焼などが数多くの窯元で焼かれていましたが、これが京焼・清水焼の源流だとされています。

京焼・清水焼の地位が確立されていったのは江戸時代で、丹波の陶工・野々村仁清の功績が大きかったことで有名です。

美しく可憐な色絵陶器を生み出した野々村仁清は、京焼の可能性を世に知らしめます。尾形光琳の弟の尾形乾山と共に合作するなど、京焼・清水焼の存在価値を高めました。

さらに、江戸後期に入ると奥田頴川が磁器の焼成を成功させ、数多くの名工が誕生しています。

伝統を重んじる京焼・清水焼ですが、明治時代にヨーロッパの製陶法を取り入れるなど、革新的なチャレンジ精神も忘れてはいません。

伝統的な京焼・清水焼、さらにモダンな雰囲気を取り入れた新しい京焼・清水焼など、そのバリエーションや可能性の高さは今もなお多くの人々の心を惹きつけてやみません。

京焼・清水焼の製造工程について

京焼・清水焼の製造工程は、窯元や作られる陶磁器によって変わります。

一般的な京焼・清水焼の製造工程について下記にまとめました。

  1. 土もみ
  2. 成形
  3. 乾燥およびけずり仕上げ
  4. 素焼き
  5. 下絵付
  6. 釉薬がけ
  7. 本焼
  8. 上絵付
  9. 上絵焼成

京焼・清水焼では、陶磁器にベースとなる陶土の土もみが行われます。

京都では陶土が産出されないことから、現在では伊賀などの陶土を利用し、丁寧に土もみが行われます。

そして、「ろくろ成型」「ひねり成型」「鋳込成型」などを活用する成形の工程ですが、職人の熟練した技術が必要になる重要な工程です。

単純な技術もあるものの、シンプルであればあるほどに高い技術を有する難しい作業となります。

その後、乾燥およびけずり仕上げ、素焼きが行われ下絵付の工程へと入ります。

毛筆でー筆―筆丹念に手描きが行われる工程であり、失敗は許されません。下絵付も熟練した技術者だからこそなし得る、芸術的な作業といえるでしょう。

その後、釉薬をかける工程ですが、焼成による影響を考えた上で行う工程であり大変重要です。

それが終了した後、本焼へと入ります。

本焼が終わった後、ついに上絵付が行われ、再度焼成を経た上で窯出しが行われる流れです。

陶磁器が出来上がるまでは膨大な時間を有するほか、どれも繊細な作業であることから高い集中力が求められます。

京焼・清水焼の文化を守り続けることができる、熟練の技術者たちの実力を垣間見ることができる貴重な工程なのです。

京扇子・京うちわ

  • 京扇子・京うちわについて
  • 京扇子・京うちわの歴史
  • 京扇子・京うちわの製造工程

それぞれ解説します。

京扇子・京うちわについて

京扇子・京うちわは、京都でつくられている扇子、またうちわの総称です。

京扇子は、竹を利用して作られる扇子であり、とくに京都丹波地域の真竹を使ったものが良いと言われています。

蒔絵など豪華絢爛な装飾が施された京扇子は高級美術品として扱われてきており、婚礼などで利用されることも多い扇子です。

貼扇、板扇といった種類があり、熟練の職人たちによって手作業で作られているところが特徴になります。

また、その工程の多さでも知られており、なんと八十七も存在すると言われているほどです。

美しさ、さらにあおいだ際の繊細な風が魅力と言われています。

一方、京うちわは地紙の内側に多くの竹骨を持つ朝鮮団扇の流れを汲む、美しいうちわです。

竹の細骨を放射状に1本すず並べて作られる団扇面をベースに、別に製造された柄を後ろから装着させた、挿し柄と呼ばれる構造になっているところが最大の特徴といわれています。

京うちわの中でもとくに高級品として扱われているものが、竹骨が100本ある「100立て」と呼ばれるもので、装飾用として活用されています。

俳句や和歌、人物、風景など、日本画を彷彿とさせる美しく優美なその姿は、うちわの域を超えた芸術的な工芸品として今も人気を集めています。

京扇子・京うちわの歴史

京扇子、京うちわ共に古い歴史を持つ伝統工芸です。

京扇子は平安時代の初期の木簡が源流となっているといわれており、東寺の仏像の中から発見された「桧扇」が日本最古の扇としても知られています。

平安時代には蝙蝠扇、室町時代は紙扇など歴史に合わせて進化を遂げてきました。

平安時代には儀礼や贈答に用いられるようになりますが、香道や茶道などに活用する扇子は室町時代以降に作られるようになったと言われています。

13世紀頃には輸出されるようになり、それをきっかけに西洋風の扇子に姿を変化させていった歴史があるそうです。

一方、京うちわは14世紀頃に日本に伝わった朝鮮団扇がルーツとされており、紀州を経て京都伏見の深草に伝わったものが源流になっていると言われているようです。

京うちわは、「都うちわ」と呼ばれるようになり、美しい絵柄は当時の貴族たちに大変愛されてきたと言います。

その後、江戸時代以降になると狩野派、土佐派といった絵師たちが京うちわに挿し絵を描く御所うちわとなり、庶民にも広がったことから需要が高まります。

京うちわは、涼を取るためだけの存在ではなく、飾りとしてデザインされているものなど、一般的なうちわの域を超えた存在になっているのです。

京扇子・京うちわの製造工程について

京扇子と京うちわの製造工程を下記にまとめました。まずは、京扇子を紹介します。

  1. 扇骨加工・銅切り
  2. 割竹
  3. せん引
  4. 目もみ
  5. あてつけ
  6. 白ほし
  7. 磨き
  8. 要打ち
  9. 地紙加工
  10. 加飾加工・箔押し
  11. 折加工
  12. 中差し
  13. 万切
  14. 仕上加工・中附け
  15. 親あて

京扇子は、緻密な製造工程が特徴の扇子です。

それぞれ高い技術を持つ職人たちが担当しており、出来上がりはまさに芸術品です。

また、上絵、木版画摺りの工程で「つき版」と呼ばれる技術が利用されることがありますが、これは京都ならではの手法でほかにはありません。

なぜ京扇子が美しい仕上がりなのか、この工程を見るだけでも理解できるのではないでしょうか。

次に、京うちわの製造工程を下記にまとめました。

  1. うちわ骨加工 胴切り
  2. 割竹
  3. 巾揃え
  4. 厚さ揃え
  5. きざみ
  6. もみ
  7. へぎ
  8. うちわ紙加飾
  9. 裏張り加工
  10. 裏張
  11. めくり
  12. 仕上げ加工 合わせ
  13. 念付け
  14. 元板付け
  15. なり廻し
  16. へり取り

京うちわも、京扇子同様に大変複雑な工程を経て作られる伝統工芸品です。

一寸の狂いがないように職人の高い技術によって仕上げられる京うちわも、まさに芸術品と言っても過言ではありません。

さらにそこに日本画を彷彿とさせる大胆で豪華な絵付が行われることで、世界が認める京うちわが生み出されます。

京扇子・京うちわともに京都はもちろん、日本が誇るべき素晴らしき伝統文化であることが理解できるのではないでしょうか。

まとめ

京都の魅力は、神社仏閣や歴史ある街並みと景観、文化だけではなく、伝統工芸でもあります。

京都が誇るこれら伝統工芸品を手に取り、ぜひ生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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