農業

農業の仕事

農業は自然のなかで、野菜・果物・米などを育てて販売するスペシャリストです。酪農や養豚・養鶏も農業に含まれますが、ここでは野菜など栽培物を取り扱う農業について説明します。

農業の仕事は幅広いです。農地を耕したり肥料を加えたりする土づくり、田植えや種まき、収穫作業などがあります。収穫物を袋詰めして、スーパーや農協の集荷場・直売所に持ち込んで陳列するのも仕事のひとつです。

農業のやりがいは、大きく分けて3つあります。

①作物を育てる喜び

自分の育てた作物が、色鮮やかな野菜や香り豊かな果物になっていく様子を見るのは、何ものにも代えがたい喜びです。

②収穫物が評価されることが自信となる

自分の収穫物が評価されるのは、大きなやりがいです。収穫物が市場で高い評判を得ることで、「レストラン」「小売店」「一般消費者」から直接注文が来るようになれば、自信となります。

③季節の移り変わりを感じながら仕事をする幸福感

自然を相手に、季節の移り変わりを肌で感じながら作業する幸福感を味わえます。

朝早く起きて作業をスタートし、日が沈むとともに終える健康的な生活は、一般の会社員では味わえないものです。暑さ寒さが厳しい季節にはつらいこともありますが、慣れればそれも当たり前と思えるでしょう。

農業は自然を相手にする仕事なので、人によって向き不向きがあります。向いている人の特徴は5つです。

①自然に囲まれた環境が好きな人

農業は自然のなかで作業をする仕事です。そのため、自然に囲まれた環境で草や土をいじることが好きな人に向いています。

②地道にコツコツ努力できる人

作物を育てて収穫するまでには時間が掛かるので、地道にコツコツ努力できる人が向いています。また、農業には答えがないので、慣れるのにかなりの経験が必要です。途中で投げ出さずにじっくり取り組む姿勢も大事です。

③体力がある人

基本的に農業は体力勝負です。機械の発達やIT化で楽になってきたとはいえ、同じ姿勢を取り続けたり、たくさんの農作物を運んだりするきつい仕事にもめげずに作業する体力が求められます。

④コミュニケーション能力がある人

コミュニケーション能力がある人は、農業に向いています。

仕事をするうえで、同じ地域の農家の人や農協・直売所の担当者とは、常に連携を取らなければならないからです。同じ農場の仕事仲間やパート社員との意思疎通も欠かせません。

そのため、積極的にコミュニケーションを取れる人は農業に向いています。

⑤数字に苦手意識のない人

これからの農業は、数字に向き合う機会が増えます。

近年の農業はIT技術を駆使して、気温や湿度、水量や養分、日照時間などをデータ管理する時代です。統計を取り、収穫量や品質を数値で見える化することが必要になってきます。

そのため、今後は数字に強い人が求められます。

農業になるには?

農業をはじめるには、起業して農業をはじめるか農業法人に就職するかの2つの選択肢があります。

起業する場合に問題となるのは、「農地の確保」「農業機材・資材の購入資金」「農業に関する知識と技術の習得」です。特に資金面は難しいところがあるので、就農者を対象にした助成金・補助金制度を利用するとよいでしょう。

いくつか制度がありますが、代表的なものに「農業次世代人材投資資金」という制度があります。新たに農業を志す人を対象に、年間で1200時間以上の研修を受けるなどの条件つきで、最長3年間をめどに年間150万円の資金を受け取れる制度です。この制度を利用して、独立への準備期間にするとよいでしょう。

しかし、高校卒業後にいきなり起業するのは、実家が農家でない限り現実的ではありません。まずは、大学や専門学校で学び、農業法人や農家などに就職して経験を積みながら、起業の道を探るのが現実的です。

就職するためには、農業専門のサイトやハローワークの求人に応募して合格することが必要です。試験は主に面接が中心となります。

面接では「農業を目指す理由」などを聞かれるので、あらかじめ想定される質問を予想して答えを考えておけば、緊張せずに挑むことができるはずです。また、適性検査を実施しているところもあるので、テスト対策が必要です。

そのほか、農業法人や農協などに直接訪問して、話を聞く方法もあります。

求人を出していなくても面接してくれるところもあるので、積極的に連絡してみるとよいでしょう。中には、農業体験をさせてくれるところもあります。

必要な資格

農業をするにあたって役立つ資格は3つほどあります。

①日本農業検定

農業全般・栽培・食・環境についての基礎知識を問われる試験です。試験は1級〜3級まであります。実技試験のみで誰でも受けられるのが特徴です。

3級は農業を学びたい人向け、1・2級は体験農園に興味がある人や既に農業をしている人向けです。受験費用は級に応じて4,000円〜6,000円程です。

②日本農業技術検定

これから農業をはじめたい学生や社会人向けの資格です。

試験は1〜3級まであり、農業の技術や知識を判定するものです。3級は学科試験のみで、1級と2級には実技試験もあります。受験費用は級に応じて3,000円〜5,000円程です。

1級と2級は実技試験があるので、まず3級に合格し就農してから実技試験のある級に挑戦してもよいかもしれません。

③運転免許証

農業は荷物の運搬作業が多いので、運転免許を取る必要があります。

また、農業では普通自動車以外の特殊自動車を運転する機会も多いため、運転免許証は必要不可欠です。

まずは自動車教習所で普通免許を取得しなければなりません。一般的にマニュアル車を取るための費用は約25万円〜34万円ほどです。AT限定では、約24万円〜33万円ほどになります。

また、トラクターやコンバインを公共道路で走らせるならば、大型特殊自動車免許が必要です。

試験は、学科と技能試験からなり、費用は試験手数料などを含め6,100円ほどです。ほかの免許を持っていると学科試験を免除されるところもあるので、問い合わせてみましょう。

そのほか、公道で750キロを超える他の車をけん引して走る場合、農業専用けん引免許が必要です。

けん引免許は、各地の農業大学で実施される「農耕用けん引免許試験」を受ける方法があります。費用は研修受講料と免許試験を合わせて、17,000円ほど掛かります。

専門的な学校・学科はあるの?

これから農業をはじめようと思う人は、農業のイロハを学ぶ必要があります。専門的に学ぶには、農業に特化した大学や専門学校がおすすめです。

大学の農学部では、「野菜や果樹」「稲作や畑作」などに関するさまざまな実習を行いながら、作物の生産から流通までの幅広い分野を学ぶカリキュラムが用意されています。

専門学校では、野菜や花弁のほか、酪農や養鶏などについて学ぶコースを設けているところもあります。広大な農場のなかで、実習を通して幅広い農業体験ができるのが魅力です。

そのほかにも農業について学べる大学・専門学校はありますので、興味を持ったら資料を取り寄せてみることをおすすめします。

大学・専門学校に必要な初年度の納入金についてですが、一般的に大学が72万円〜190万円ほど、専門学校は82万円〜180万円ほどです。

農業の年収・給与・収入

農業の収入は、個人農家だと平均約120万円ほどで、月収にすると10万円ほどになります。地域や扱う野菜によっては、年収1,000万円ほど稼ぐ農家もあります。

農業を営む場合は、天候に左右されない栽培方法を考えたり流通経路を開拓するなど、安定した収入源を確保する必要があります。

一方農業法人の平均収入は、手取りで平均約290万円ほどです。月収にすると、24万円ほどになります。農業法人によっては、社会保険完備でボーナスが出るところもあるため、安定した収入は望めます。

農業の社会のニーズ・将来性・まとめ

農家の高齢化や次世代の農業の担い手の減少により、農業は厳しい状況におかれています。

しかし最近では、政府や各自治体による支援制度やIT技術の活用により、農業を取り囲む環境も大きく変わってきました。

政府や各自治体の支援制度には、条件を満たせば一定の給付金を受けながら就農できる「青年就農給付金」や収入面での不安を解消する「法人雇用での就農支援」などがあります。

IT技術の活用では、個人に直接収穫物を届ける農家の出現が挙げられます。この方法なら中間業者を介さないので、自分で値段を決められるのが大きな魅力です。消費者の国産商品への信頼度の高まりにより、品質のよい作物を作り続けてファンが増えれば、より効率的に収入を上げられるので将来性が見込めます。

これ以外にも、情報通信技術やロボット技術などの先端技術を活用して行うスマート農業で、農業市場の拡大が見込まれるのも明るい材料のひとつです。

食物の需要はなくなりません。まだまだ将来性を秘めた農業は、この先の進路として考えてみる価値は十分にあるでしょう。

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