旅館仲居

岸本紗織/綿善旅館

やりたいことがあるなら、あきらめずに目指してほしい

ーーまず、岸本さんのお仕事について、教えてください

岸本紗織さん(以下、岸本) 旅館の客室係です。

主な仕事は、お泊りになるお客様のご案内全般です。朝食・夕食のご用意、お部屋のセット、お着きになられたらお部屋にご挨拶して、館内のご案内など。

ーー旅館だと「仲居さん」という呼び方がありますが?

岸本 そうですね、同じ仕事になります。

ーーでは、このお仕事をしようと思ったきっかけをおしえていただけますか。

岸本 いつからか思い出せないんですけど、英語に興味を持ち始めて、そこから海外の人と接する仕事がしたい、と考えるようになりました。それで大学も、語学系の学部に入って、海外の方をもてなす仕事を目指して就活しました。

ーーどちらかと言えば、希望は「語学を活かせる仕事」だったんですか?

岸本 そうですね。でも、主には、ホテルや旅館など、宿泊業界を中心に考えていました。ただ、実際は最初の就職先は別の業界で。

でもやっぱり、宿泊業界で仕事してみたい、っていう思いが強くなって、4年後に転職しようと思いました。それに京都に住みたい、っていう気持ちも強くなってきて、京都の旅館を検索してたら、この綿善旅館を見つけたんです。女将さんのインタビュー記事を読んで、素敵なところだなあ、と思いました。

ーーさすが、(女将の)小野さんの発信力ですね。

京都に住みたくなって、ということは、ご出身は京都ではないのですか?

 

岸本 大阪の貝塚です。大学には実家から通っていたんですが、枚方だったので、京都にも来やすかったです。

 

ーー大学での専攻は?

 

岸本 英米文学専攻でしたが、将来のことを考えて、ホテルビジネスの講座も履修していました。

 

ーーこのお仕事についてみて、感じたことはありますか?

 

岸本 体力がいるだろうなー、とは思っていたのですが、実際やってみると、想像以上でした。

あと、「お局さん」みたいな怖い人がいて、厳しくつらく当たってこられるのかな、なんて心配してたんです。実際はそんなことはなくて、もちろん仕事のことは、しっかりと、時に厳しく教わるんですけど、みなさん優しくて、とても感謝してます。

 

ーーこの仕事をしてきて、楽しかったことはなんですか。

 

岸本 うちの旅館は特殊なんですけど(笑)

修学旅行のお客さんをお送りするとき、アフロとか仏像とかのかぶりものをして、京都駅のホームまでお見送りに行くんです。みなさんすごく驚かれますが、喜んでもいただけて、他の旅館では味わえない楽しみかな、と。

また、年に1回、夏の時期に「天婦羅ナイト」というイベントを開催していて、その1週間は、旅館というよりも居酒屋さんみたいな雰囲気になるんです。食事のお客さまがたくさんいらして、盛り上がってくださって・・・ふだんとは違う雰囲気が味わえて、これも楽しみですね。

 

ーーこの仕事で、やりがいを感じるのはどんな部分ですか?

 

岸本 やはりお客様に喜んでもらえる、ということですね。アンケートでお褒めをいただいたり、お客様のお力になれたと感じられた時が、やりがいを感じるときです。

 

ーー京都という街はどうですか?

 

岸本 まず思い浮かぶのは、夏は蒸し暑くて、冬、寒い、ということです。

 

ーーネガティブ要素ですね(笑) いいところは?

 

岸本 魅力に感じているのは、古さと新しさの共存ですね。伝統を大事にしながら進化している、というような。外を歩いていると、世界遺産もあれば、雑貨やカフェなど新しいお店ができていたり、それが町家のレトロな造りだったりで、とても楽しい。あと、桜も紅葉も有名で、春夏秋冬を感じやすいのもいいですね。

べたですけど鴨川べりとか、糺の森(下鴨神社)が、癒されるお気に入りのスポットです。

 

ーー京都の職場は綿善旅館さんが初めてですね。京都で働くことの魅力とは?

 

岸本 いい意味で、「狭いこと」でしょうか。いろんなものが集中していて、仕事でも遊びでも、移動に時間も手間もかからないから、とても行動しやすい街です。

 

ーーこんな風に生きていきたい、というビジョンはありますか?

 

岸本 後悔しないよう、幸せに生きたいです。私の幸せって、美味しいものを食べることなんですけど(笑)

京都はたくさん美味しいものがあって、仕事も楽しくて、それだけでも今、幸せに生活できてますね。

 

ーー学生・若者にメッセージをお願いします

 

岸本 仕事でも、やりたいことがあるなら、あきらめずに目指してほしいと思います。

私自身、一度、違う仕事について、決してその仕事がいやだったわけじゃないんですけど、でも、何かモヤモヤするものが頭にあって・・・やりたいことをあきらめてしまったら、そのモヤモヤとずっと付き合っていかなきゃならない。そうならないためにも、自分の夢や志望を追いかけてほしいと思います。

――――本日はありがとうございました。

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