和裁士

和裁士職人Kさん、Tさん/株式会社山口西光堂

今後の着物文化の継承者に

ーー では、実際和裁士をやられている2名の方に来ていただいております。

簡単に経歴というか、どういうルートで和裁士になったかなどお話いただけますか。

Kさん 私は大阪にある上田安子服飾専門学校という洋裁の専門学校に通っていました。

就職活動のときにデザイナーの仕事とか縫う仕事ははなかなかなくて、アパレルの販売にはあんまり興味がなかったので縫う仕事で探していたら、ここの会社が出てきてここの会社に入りました。

今までは洋裁を勉強していたんですけど、今の会社に入ってから先輩の方たちに和裁のことも教えてもらって、今は和裁と洋裁の知識も使って働いています。

4月で4年目になりました。

ーー はいありがとうございます。

Tさん 私は高校卒業して大阪の専門学校の方に出てきたんですけど、大阪で1度就職しました。

その後京都でお仕事のご縁があって、転職して今の会社に巡り合いました。

私は一応着物の専門学校でてるんですけど、着物って業界的にはあんまり仕事の幅が広くないので販売の方も勧められたんですけど、あまり販売の方は興味なかっので検品作業を主に今までやってます。

ここの会社に入るまでは、縫いの仕事はメインではしてませんでした。

ここの会社に入って法衣という特殊なジャンルですし、仕組もいまいちわかってなかったので、ここの会社に入って初めて法衣の仕組とか、縫い方とか勉強して今は縫いの仕事もやりつついろいろなことを満遍なくやっているという感じですね。

ーー ということは、お二人方どちらも専門学校を卒業されてるということで、和裁洋裁は置いておいて、服の仕事に関わりたいなというのは思っていたんでしょうか。

Kさん 服の仕事という思いはありましたが法衣というのは全然知りませんでした。

Tさん 私は着物自体に興味を持ったのは高校生の時で元々高校も工業高校の服飾デザイン科に入っていました。

その中で服をやりつつ、授業の合間で着付けの授業があったんですね。

それで着物って面白いかもと思って、それきっかけで興味持ちました。ただ、みんな高校卒業したらアパレルやファッションの専門学校に進むという中で着物の学校に進む人があんまりいなかったのでちょっと変わった道をすすんでもいいかなと思い、この世界に興味を持ったのがきっかけです。

ーー そうですね。若いお二人の実感があるのかは不明なところもありますが、着物って斜陽産業とやはり言われているところがあると思うんですけども。

でも、小さい時から何か着物に触れられていたとか、そういうわけではないんですね。

Kさん 私はおばが日本舞踊をやってたり、おばあちゃんが着物好きで小さい時から着物を着ることが多かった。

成人式の時の前撮りで振袖を着たりや留学してた経験があって留学先で日本のことを教えるとなると着物のこととか、日本の文化を話すこともあったので、そういう時に日本のことでも知らないなと思いより興味がわきました。

Tさん 私は小さい頃は全く興味はありませんでした。着物を着る文化というのもあまりなかったんですけど、学校で伝統工芸を学ぶみたいな授業があって、それで琉球舞踊を習いに行ったりとかで発表会で着物を着たりはしてはいました。でも興味は薄かったですね。

ーー 小さいと時から本当に着物に触れる環境って稀だと思います。

僕とかは廃業してますが家計が着物で、だから3歳の頃とか芯棒で遊んでたり、使えない生地とかで遊んだりしてたので小さいころから着物というのはふれてたのですが、昔の京都だったら多かったでしょうが今の若い人だと稀になっちゃうのかなと思います。なので今、新しくふみこんでこられたお二人のお話は興味があります。

実際、着物の仕事をやってみて着物の魅力ってなんでしょうか。

Kさん 洋裁と和裁が全然やり方が違って、私はここに入ってから和裁を教えてもらったのでやり方の違いを学ぶことでまた洋裁に行かせることがあったりとか、洋裁の知識があってここで生かせることもあるので、その両方の面を知れるのはいいなと思ってます。

ここで和裁をやるようになってから、自分の浴衣を作れるようになって、それを作れたのが嬉しかったです。

Tさん 私は着物を着たりもしますけど、やっぱりちゃんとしなきゃなって感じはあります。

ちょっと非日常感を持って、友達と遊びに行く時も着物着ようとなったら、普段の数倍は気合入れてそれが楽しみで、その出掛ける日に向けて全力で頑張るという日常のメリハリの役には立っているかなと思います。

ーー 今後そうですね。京都の守っていくべきと言うと語弊があるんですけれども、京都で守っていくべき文化の一つだとは思うんですけれども、例えば着物にあまり関心がないとか、成人式レベルでしか着物を着ないとかそういう人たちにとって、例えば着物の魅力を伝えるとしたらどんなことが着物の魅力ですか?

Kさん さっき話に出た通り、着物って非日常のものに逆になっていると思うんですけど、今京都に着たときに浴衣来たりとか着物着ている方が多いです。

そういうのをインスタとかでもよく見ますし、一種のコスプレではないですけどそういう体験として着たり、昔とは違った着方もでてきていてフリルとあわせたり靴を履いたりとかで、新しいかわいいものみたいな魅力の見つけ方もよいかなと思います。

Tさん  最近の若い子たちが着てるものは形にとらわれてないというか、普通の普段着のお洋服に紋付きの羽織とか結構一時期見かけたので、そういう自分が持っているアイテムとプラス着物っていう融合でいいとこ取りしている感じがするので、着物だから絶対こうしなきゃあーしなきゃという感じでは今はなくなっていると思います。

全部自分らしく何かアイテムを取り入れて着物っていいなって思ってもらえるだけでもいいのかなって思います。

ーー そうですね。和テイストとかそういう風になってくるんですかね。伝統を守りながら革新を行っていくというところが大事なんでしょうね。

私が偉そうにはいえないのですけども京都で多分行き詰まっているところは、伝統を守らないといけないので、こういう着物はこう着てこういうルールでこうでありというところから多分脱却していかないと着物難しい所もあると思うんです。

そして脱却しなかったら、そのすごい反物に対して数100万払いますかという一時代の文化はなかなか今は厳しくなってきていると思います。

だからひょっとたら、例えばお二人方が10年後・20年後になったら全く違うかは分からないですけれども、新しい着物のスタイルというのは多分できてきているのかなと。

それを支える世代の職人さんなのかなというのをお話聞いてて感じています。

だから何かこういう風な将来、例えば10年後、20年後にこういう風に着物と接してられたらいいなとかありますか。

Tさん そうですね、何か思いついた時にぱっとふれられる距離にあったらいいかなと思います。今はちょっと奥底に眠っていた利してると思うので何か普段使いの活用方法があればいいかなとは思います。

Kさん 家にいっぱい着物は眠ってるのに自分では着られないから眠っている、そういうのではなく自分で着られるそんな文化が出来てきたらいいなと思います。

西陣織がハイブランドとコラボしたりとかがあるので、もし着れないなら私はその着物を洋裁にリメイクするなり、そういう形で関われたらいいなと思います。

ーー だから和のものなんだけれども、もう和というのが日本で凝り固まったものじゃなくて、新しい服のスタイルとしてなったらいいのかなと思っております。

今入社されて3年とか4年とかってお伺いしたんですけど、例えば今高校生とか洋裁の学校に通っていた人とかにこういうところって和裁士面白いよとか、着物に関わってる仕事としてこういうところってすごく面白いとかやりがいがあるというところって何かありますか。

Tさん 学校に行ってた時よりもはるかにいろんな素材とか、色とか模様とかに携われるので使われる見ている景色が広がるなというのがあります。

取引先が全国にあり、いろんなパターンが見れて面白いなと思います。

Kさん 和裁っていうよりは法衣だからと思うんですけど、法事とかお墓参りとかの時にお坊さんがこれ着てるやつ知ってる、作ったやつがあると「おお!」と思います。

なかなかこんな法衣の仕事をしている人がいないので、友達とか周りに面白がってもらえる興味をもってもらえる、話題になるというのもあります。

ーー そういうところの楽しみや日々感じてる部分が和裁士にはあるよーと。そうやって着物とかに関われるってやりがいはある仕事ですよね。

Kさん ぼろぼろになってたものが綺麗になってたらやっぱりやって良かったと思うし、

こういうのを営業さんからお客さんが喜んでたよと言われたらやはり嬉しいです。

ーー 自分の今5年後とか10年後とかこういうことをしていたいなとか、例えば和と洋をくっつけて何か提案できてる文化があったらいいなとか何でもいいんですけれどもありますでしょうか。

Tさん 女物の帯を袈裟に変えてるなどちょくちょくあるので、リメイクじゃないですけど本来とは違う要素の生地を使って法衣を仕立てる、かなり面白いなと思ってます。

そういうファッションショーじゃないですけども発表会みたいな場所があったらちょっと面白いかもなと思います。

宗派によっても形が違ったりもしますし、この会社に入って知ったことなんですけどこんな色鮮やかなものを使ってるんだというのも結構あるので、それぞれのお坊さんが着てみてるとかあったりしたら面白いだろうなと思います。

テレビとかを見てても、この前お坊さんが出てきている番組で法衣が気になって番組を録画して見てしまったんですけどこういう色使いのも着れるんだなと思ったので、そういう異素材との組み合わせみたいなのも出来たら面白いかなと思います。

Kさん 会社の仕事の面では、一人できちんと仕立てられるようになっていたいです。

今は先輩について聞きながらやることも多いので、自分でできるようになりたいなっていうのと時々、衣装のデザインとかもたまにするので、そういうので法衣のディティールとかを組み込んだ衣装とかを作れたらなかなかいないので、自分だけの作品ができるようになるかなと思います。

ーー 山口専務はどんな人ですか?

Tさん 熱い人だなって思います。私がいうのもあれですけど、向上心がある人なんだなと思います。

すごく上を目指す姿勢がすごいなと思います。

Kさん いろんな新しい事に取り組もうと。

Tさん 常に何かよくしようと。改革をためらわずやる感じです。行動力が非常にあるなと感じます。

ーー では、この会社(山口西光堂)に和裁士やってる人とかまた今洋裁をやってる人たちが興味を持つかもしれないので、この会社の魅力とかやってきて良かったなと思うことを頂けたらと思います。

Kさん 素人の洋裁から入って全部教えてもらったので、知識が増えたこととみんなが優しくて何か孫みたいに扱ってくれます。すごいうれしいです。

Tさん 世代が幅広いからいろんな世代のいろいろなタイミングの話が聞けて人生勉強になります。

皆さん本当に面倒見が良いのですごく居心地がよいです。

コツコツ何かに取り組む感じの人はかなりやりやすいのではと思います。

困ったことがあったら、上司とか先輩に相談して「じゃ、これこうしようか。」と一緒に解決してくれるというのがあるので、かなりありがたいなと思います。

ーー 本日はありがとうございました。

詳細情報

株式会社山口西光堂

サイト・店舗URL:https://saikoudou.net/

サービスサイト

着物洗科 https://www.saikoudou.net/kimonosenka/

美白衣 https://kyoto-byakue.com/

TEL 0120-974-704

所在地 京都市西京区樫原盆山18-1 ダイヤモンドヒルズ1F

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