ーー実際に会社を運営してみて、イメージと違うところはありましたか?
西村 いきなり経営者になったわけではないのですが、最初は会社を運営していく上で多様な考え方をもつスタッフに「なぜやるのか」を意識付けすることが難しいと思う事が多かったのですが、自分なりに工夫や努力をしてコミュニケーションを多く取るようにしたり社員の個性に合わせた対応をしていくようにした結果、うまくできるようになった側面もあります。
もちろん経営をしていたら辛いこともありますが、全体を采配する仕事や人と接する仕事は凄くやりがいがあるし、自分としてはイキイキできるなという感じはしています。
ーー経営者という立場に対しては想像してたイメージと実際違いましたか?
西村 どうでしょうか。とてつもなく難しいものだという風には思っていなかったので、最終的には引き継いで経営者になると思っていたので、大きなずれがあったという訳ではないですね。
ーーすんなり受け入れることができたのでしょうか。
西村 人に恵まれたというのがありますね。家族にも社員にも恵まれていますし、家族というと父と叔父が2人3脚で経営をしていた中で、私のキャリアの道筋を叔父が上手く示してくれました。
例えば、営業だけをしているのではなく建築だったり、経理だったり、もっと色々な部門を見た方がいいという叔父のアドバイスもあって、色々と経験を積んで、結果として善いタイミングで専務の職に就くことができたのは、父、叔父、親族のサポートのお陰なので非常にありがたいと思っています。そして社員にも恵まれてます。それぞれに個性があり、才能豊かな社員が30人ほどいる楽しい職場です。イキイキと力を発揮してくれていて、いつも刺激をもらっています。
ーーそれでは今の学生さんに対してこう思うことや自分がもし今学生だったらこうしたい、こうしてると思うことはありますか?
西村 最近接している大学生の方もいらっしゃるのですが、やはりすごいなと思うところがたくさんあります。僕らの時よりもすごいなと感心することがむしろ多いですかね。
ーーそうですね。情報をしっかり仕入れているところなどでしょうか。
西村 まず、そこですね。
ーー根本的な基礎能力というのは変わらないのかもしれないですが、僕らの時代より補強されている強さがありますよね。
西村 それはありますね。当たり前にできる環境や情報というのがあるから判断の仕方も違うし、何に満たされ幸せになるといった価値観が我々の時代とはちょっと違うのかなという気がしています。物欲というよりどちらかというと、社会貢献など精神的な欲求のほうが強いのかなと思うときがあります。
どんどん自分で起業したいという考え方の人が多くて、すごいなと思います。学生時代に起業を考えたことはなかった。
ーー京都で働く魅力はどういうところにありますか?また、どういったところに着眼点をもっておくと京都の面白さを感じられるでしょうか。
西村 まずは京都に住んでみることだと思いますよね。観光目線で一般的に想像する京都と、住んでわかる京都というのは違うと思います。他のどこかの都市と比べられた方がいいのでしょうけれど、京都に住んでいて感じる魅力って本当にたくさんあると思いますよ。例えばコンパクトなまちで自然に近く、いろいろな文化が身近にあります。職人であったり、料理人であったり、すごい人が身近にたくさんおられたり。そういうコミュニティの部分でいうと、やっぱり大東京や首都圏、大阪とはちょっと違うのかなと思っていて、距離の近さやコミュニティの狭さが繋がりやすさになっていて魅力ではないかと思っています。才能溢れる人がたくさんおられますし、京都にはやはりまち自体に魅力があるし、自慢になるけど綺麗なまちやなあと思うときもあります。もちろんエリアごとの多様性も面白いと思います。
なぜ京都は「住んでこそ良いところ」ともっと住民が答えられないのか、残念に思っています。観光都市というイメージが強すぎる気がしています。
住宅が高すぎるというのが問題だと言われておりますが、確かに安くなる方がいいとは思いますが、そこは一朝一夕に解決しません。賃貸住宅で京都の暮らしを味わってほしいと思います。