ソムリエ

現在高校生のみなさんのなかには、卒業したら将来ソムリエの仕事に就きたいと思っている方もいるのではないでしょうか。

ソムリエは、レストランやホテルなどで働くワインの専門家のことです。

お客様の好みに合ったワインを選んで提供します。

この記事では、ワインの専門家であるソムリエの仕事内容やなり方、必要な資格や学べる学校、年収などについて紹介します。

この記事を読んで、ソムリエがどのような仕事なのかをイメージするお役に立てたら幸いです。

ソムリエの仕事

ソムリエのおもな仕事は世界中の数あるワインのなかから、お客様の求めに応じてぴったりなものを提案・提供することです。

提供するワインの産地や歴史的な背景などの知識、お店のメニューや季節に合うワインを考えることも仕事となります。

ときには、食前酒や食後酒などの飲み物全般を扱うため、幅広いお酒の知識が要求されます。

それだけではありません。

ワインの購入や適切な貯蔵方法での在庫管理、買い付け、お店のホールマネージャーの業務もソムリエの重要な仕事です。

ソムリエの仕事のやりがいは、なんといっても自分の選んだワインをお客様に喜んで飲んでもらえることでしょう。

お客様の要望をしっかりと聞き取り、料理メニューと相性の良いワインを瞬時に選択することができたときの喜びは格別です。

直接、お客様の反応がわかるため、充実感を味わうことができます。

また、自分が提供した高価なワインを飲んでもらうことで、お店の売上げに大きく貢献することになるのもやりがいです。

なにより、自分の好きなワインに携わり、深く追求できるところが一番のやりがいといえるでしょう。

ソムリエに向いている人の特徴は、3つです。

1つめは、ワインが好きなことです。

世界には膨大な数のワインが存在します。

その土地で採れたブドウの品種や性質、製造方法や熟成期間などにより、香りや味わいの特徴が異なります。

そのようなワインの特徴を、興味深く調べられる人は向いています。

2つめは、人と話すことが好きな人です。

ソムリエはレストランなどでお客様と接することが多いため、コミュニケーション能力が求められます。

ただし、人と話すことが好きなだけではいけません。

「人当たりのよさ」「礼儀正しさ」「気配り」も大切です。

接客態度が悪いと、そのお店の評判を下げてしまいます。

現在、自分にはそのような特徴がないと感じている方は、普段の生活や実務経験を通して努力すれば変えられるので、心配する必要はありません。

3つめは、向上心のある人です。

ソムリエには、ワインの知識を深く追求するだけではなく、幅広い食の知識やサービス技術が必要になるからです。

世界の政治経済や食生活に常にアンテナを張り巡らせておくことも重要になります。

ソムリエになったからといって、終わりはありません。

20年以上続けて、「マスターソムリエ」の資格を取ることができれば、最上位のソムリエとしての称号を得ることもできるので、夢のある職業です。

ソムリエになるには?

ソムリエになるためには、レストランやホテルなどの飲食サービスの実務経験が3年以上必要になります。

なぜなら、ソムリエの資格取得の条件として飲食店での3年以上の実務経験が必要になるからです。

高校を卒業してソムリエを目指すならば、まずはレストランやホテルなどに就職するのが近道となります。

できれば現役のソムリエがいるところに就職して、学びながら資格取得を目指せればベストです。

就職試験は、例えばレストランなら筆記試験や面接試験があります。

筆記試験の内容は一般常識テストや時事問題、適性検査です。

準備しないで挑むとうまくいかないので、普段からインターネットや新聞などでニュースを見たり、就職対策の問題集を購入して勉強したりするなどの準備が必要です。

面接では、「そのレストランを志望する動機」や「入社してどのようなことができるか」「将来どのようなキャリアプランを描いているのか」などの質問をされます。

将来ソムリエになりたい旨を伝えて、仕事をしながら勉強を続けていきたいという熱意を伝えるとアピールできるはずです。

必要な資格

ソムリエになるための国家資格はありませんが、持っていると良い民間資格があります。

資格は2つです。

まず1つめは、「ソムリエ呼称資格認定試験」のなかにある「ワインエキスパート」です。

一般社団法人日本ソムリエ協会が、年に1回行なっています。

満20歳以上であれば誰でも受けられます。

1次試験はパソコンを使用して解答するCBT試験、2次試験ではテイスティングの試験を行ないます。

ソムリエに必要なさまざまなワインの知識を学べるため、取っておいて損はありません。

2つめは、同じく日本ソムリエ協会が行なっている「ソムリエ」試験です。

1次試験はCBT試験、2次試験はテイスティング、3次試験は論述・サービス実技となります。

受験資格は、ワインやアルコールを扱う飲食サービスを3年以上経験している人、日本ソムリエ協会の会員歴が2年以上ある人です。

まずは「ワインエキスパート」の資格取得を目指し、次に飲食店で実務経験を積みながら、「ソムリエ」試験に挑みましょう。

専門的な学校・学科はあるの?

ソムリエになるのに必要な学校は、大学・短大・専門学校です。

大学や短大なら食品や栄養学について学べるところ、専門学校なら調理や観光などについて学べるところが適しています。

特に調理系の専門学校は、「さまざまな調理の基礎」「ワインについての専門知識」「接客サービス」などを学べるところがあるため、より実践的です。

なかには、フードビジネスについて総合的に学べるところもあり、将来ソムリエとして独立したい方には最適といえます。

学費は大学・短大なら年間約100万円〜120万円ほど、専門学校なら年間150万円〜170万円ほどです。

ソムリエの年収・給与・収入

ソムリエの年収は勤務先の違いはあるものの、約400万円ほどです。

月収に直すと30万円ほどになります。初任給は20万円ほどのところが多いようです。

ほかの職業と比べて、飛び抜けて高い給与というわけではありません。

しかし、給与を上げるチャンスはあります。

一つは、「ワインエキスパート」や「ソムリエ」の資格を取得して、しっかりとした知識や技術を持つプロフェッショナルとして認められる方法です。

もう一つは、実務経験を積みながらソムリエコンクールに挑戦して上位入選し、高い技術をもつ「ソムリエ」として評価される方法です。

これらの実績を積むことにより、社内で給料が上がることにつながるかもしれませんし、将来独立して店舗を持ったときに大きく収入を伸ばすきっかけになるかもしれません。

さらに上を目指して高級ホテルや高級レストランなどで働くのも方法です。

また、出張ソムリエとして働くことができれば、副収入のチャンスも広がります。

ソムリエの社会のニーズ・将来性・まとめ

日本国内のワイン消費量は、1980年代から2020年の間の40年で約8倍、10年前の2010年代と比較しても約1.3倍まで伸びています。

こうした長期的なワインブームの流れもあり、ワインの人気は今後も衰えることはないでしょう。

ワインの種類もフランス・イタリア・スペインの「欧州産ワイン」、農薬を使わない有機農法で作られた「オーガニックワイン」、ひと頃ブームになった「チリワイン」、日本国内で生産しているワインなど多様な種類があるため、専門家であるワインソムリエの存在意義はますます高まるばかりです。

近ごろは、専属のソムリエが常駐して日本食に合うワインを提供する和食料理店や、四川料理に合うワインを提供する中華料理店などもあるため、レストランだけでなく活動の場が広がっています。

ワインへの情熱と深い探究心があるならば、一流のソムリエとしていくらでも活躍できるので、ぜひ挑戦してもらいたい職業です。

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