ーーさすが、(女将の)小野さんの発信力ですね。
京都に住みたくなって、ということは、ご出身は京都ではないのですか?
岸本 大阪の貝塚です。大学には実家から通っていたんですが、枚方だったので、京都にも来やすかったです。
ーー大学での専攻は?
岸本 英米文学専攻でしたが、将来のことを考えて、ホテルビジネスの講座も履修していました。
ーーこのお仕事についてみて、感じたことはありますか?
岸本 体力がいるだろうなー、とは思っていたのですが、実際やってみると、想像以上でした。
あと、「お局さん」みたいな怖い人がいて、厳しくつらく当たってこられるのかな、なんて心配してたんです。実際はそんなことはなくて、もちろん仕事のことは、しっかりと、時に厳しく教わるんですけど、みなさん優しくて、とても感謝してます。
ーーこの仕事をしてきて、楽しかったことはなんですか。
岸本 うちの旅館は特殊なんですけど(笑)
修学旅行のお客さんをお送りするとき、アフロとか仏像とかのかぶりものをして、京都駅のホームまでお見送りに行くんです。みなさんすごく驚かれますが、喜んでもいただけて、他の旅館では味わえない楽しみかな、と。
また、年に1回、夏の時期に「天婦羅ナイト」というイベントを開催していて、その1週間は、旅館というよりも居酒屋さんみたいな雰囲気になるんです。食事のお客さまがたくさんいらして、盛り上がってくださって・・・ふだんとは違う雰囲気が味わえて、これも楽しみですね。
ーーこの仕事で、やりがいを感じるのはどんな部分ですか?
岸本 やはりお客様に喜んでもらえる、ということですね。アンケートでお褒めをいただいたり、お客様のお力になれたと感じられた時が、やりがいを感じるときです。
ーー京都という街はどうですか?
岸本 まず思い浮かぶのは、夏は蒸し暑くて、冬、寒い、ということです。
ーーネガティブ要素ですね(笑) いいところは?
岸本 魅力に感じているのは、古さと新しさの共存ですね。伝統を大事にしながら進化している、というような。外を歩いていると、世界遺産もあれば、雑貨やカフェなど新しいお店ができていたり、それが町家のレトロな造りだったりで、とても楽しい。あと、桜も紅葉も有名で、春夏秋冬を感じやすいのもいいですね。
べたですけど鴨川べりとか、糺の森(下鴨神社)が、癒されるお気に入りのスポットです。
ーー京都の職場は綿善旅館さんが初めてですね。京都で働くことの魅力とは?
岸本 いい意味で、「狭いこと」でしょうか。いろんなものが集中していて、仕事でも遊びでも、移動に時間も手間もかからないから、とても行動しやすい街です。
ーーこんな風に生きていきたい、というビジョンはありますか?
岸本 後悔しないよう、幸せに生きたいです。私の幸せって、美味しいものを食べることなんですけど(笑)
京都はたくさん美味しいものがあって、仕事も楽しくて、それだけでも今、幸せに生活できてますね。
ーー学生・若者にメッセージをお願いします
岸本 仕事でも、やりたいことがあるなら、あきらめずに目指してほしいと思います。
私自身、一度、違う仕事について、決してその仕事がいやだったわけじゃないんですけど、でも、何かモヤモヤするものが頭にあって・・・やりたいことをあきらめてしまったら、そのモヤモヤとずっと付き合っていかなきゃならない。そうならないためにも、自分の夢や志望を追いかけてほしいと思います。
――――本日はありがとうございました。