人材紹介営業

人材紹介営業の仕事

人材紹介営業は、企業と求職者を結びつける仕事です。大きく分けると、一般営業とキャリアアドバイザーの2種類となります。

【一般営業】

一般営業は、採用計画のある企業に対して求職者を紹介したり、採用戦略を練ったり、さらには採用後のフォローをしたりする仕事です。営業方法は、既存の客先を回るルート営業、飛び込み訪問やテレアポでの新規開拓営業です。

新規開拓営業では、その企業の業務内容や業績をよく調べてから訪問することが大事です。担当者からの質問を想定してトークスクリプトを作成しておけば、訪問時に緊張せずに挑むことができます。最終的に、人材紹介を利用するメリットも忘れずに伝えてください。

募集人員の多い業績好調な企業を選ぶことも大事です。業績の悪い企業を選んでしまうと、自社の売上にも影響してしまいますし、その企業に就職する人にも迷惑をかけてしまうからです。

【キャリアアドバイザー】

キャリアアドバイザーは、求職者に希望の求人を紹介する仕事です。今まで経験した仕事や悩みを聞き出すことをはじめ、「履歴書・職務経歴書のチェック」「面接のセッティングや面接対策」「入社日の調整」「入社に必要な書類の準備」など、就職までの幅広いサポートをします。

キャリアアドバイザーには、求職者と親身に寄り添う姿勢が大事です。採用が決まったときには求職者の不安をできるだけ取り除き、安心して仕事ができるよう最善を尽くしましょう。少しでも不安要素があると、入社辞退や早期離職につながってしまうからです。

人材紹介営業のやりがいは、採用で悩む企業に最適な人材を紹介できたときの達成感、求職者が希望通りの仕事に就くことができたときの喜びが挙げられます。採用担当者と求職者双方から感謝されることは、何ものにも代えがたい喜びです。

人材紹介営業に向いている人の特徴は、大きく分けて3つあります。

①コミュニケーション能力が高く面倒見の良い人

人材紹介営業職は、採用担当者や求職者と頻繁なやりとりをする仕事です。そのため、相手の話をよく聞いて、適切なアドバイスをするコミュニケーション能力の高い人が求められます。どのようなことでも相談に乗る面倒見の良さがあれば、「信頼できる人」として好印象を与えられるでしょう。

②根気強いタイプ

一般営業では、新規開拓で飛び込み訪問やテレアポをします。厳しい言葉をあびせられて断られることがあるかもしれませんが、そんなときにも根気強く諦めない人が向いています。

キャリアアドバイザーならば、求職者の希望する職がみつかるまで寄り添う根気強さが大切です。

③研究熱心な人。

人材紹介営業はさまざまな企業担当者とやりとりする仕事なので、幅広く知識を吸収しておかないと務まりません。日頃から業界動向やニュースをチェックすることが苦にならない研究熱心な人は、人材紹介営業向きです。

人材紹介営業になるには?

人材紹介営業職に就くには、求人に応募して試験に合格することです。

試験は面接が中心です。面接では「応募者の人柄」「コミュニケーション能力」「冷静な判断力」「説得力」を見られています。

①人柄

人材紹介営業職は、企業の採用担当者や求職者と話す機会が多い仕事です。そのため、応募者の人柄は重視されます。「話しやすいタイプか?」「就職の相談に乗りたいと思える人物か?」など、じっくりと見極められています。

②コミュニケーション能力

人材紹介営業職は、企業の採用担当者が求めることや求職者が望むことを感じ取らなければなりません。そのため、コミュニケーション能力は必須です。面接官の質問に対して的確な返事をするよう心がけたり、質問をしたりして、コミュニケーション能力の高さをアピールしましょう。

③冷静な判断力

企業の採用担当者は、早く良い人材を確保したいと考えています。一方の求職者は、就職先を見つけて早く働きたいという希望を持っています。人材紹介営業職はそのような事情を考慮して、短い期間でマッチングできるかを冷静に判断しなければなりません。

面接では「想定外の出来事にどのように対処したか」具体的なエピソードを交えて話すとよいでしょう。

④説得力

企業の採用担当者に求職者を紹介する際、求める人材であることをうまく説明し納得させなければなりません。そのための説得力が必要です。面接の際には落ち着いてゆっくり話すよう心がけたり、経験したことを具体的に話したりして、話に説得力を持たせてアピールしましょう。

また、現在はコロナ禍により、リモート面接を行なう企業も増えています。面接に備えてパソコンの環境を整えたり、普段よりハキハキとしゃべることを意識するなどの事前準備や対策も必要です。

必要な資格

人材紹介営業になるために特別な資格は必要ありません。しかし、取ると役立つ資格はあります。具体的には4つです。

①キャリアコンサルティング技能検定

2008年に技能検定職種のひとつとして追加された、キャリアコンサルティングの知識と技能を図る国家検定です。試験は学科試験と論述および面接の実技試験です。1級と2級の試験がありますが、3年以上の実務経験がないと受けられません。

②キャリアコンサルタント試験

厚生労働大臣が認めた登録試験機関により行われる国家試験です。合格の条件は、学科試験と論述および面接の実技試験に合格することです。試験に合格しキャリアコンサルタント名簿に登録することで、正式に「キャリアコンサルタント」を名乗ることができます。

ただし、「職業能力開発協会センターでの3年以上の相談業務」「厚生労働大臣の定めた講習を終了した人」「機能検定キャリアコンサルティング職の学科試験または実技試験に合格した人」のいずれかの要件を満たしていないと受験できません。

③CDA資格認定試験

日本キャリア開発協会(JCDA)が行なうキャリアカウンセラーに関する試験です。試験に合格すると、CDAの資格を取得することができます。

キャリアコンサルティング技能検定や、キャリアコンサルタント試験に合格してキャリアコンサルティング資格を取得しないと受験できないので、あらかじめ試験に合格することが必要です。

④GCDF-Japan試験

キャリアカウンセリング協会(CCA)が実施する、GCDF-Japanキャリアカウンセラーになるための試験です。「職業相談に関する実務経験3年以上」「厚生労働大臣認定の講習を修了した人」「技能検定キャリアコンサルティング職の学科試験または実技試験に合格した人」が、受験の条件となります。

GCDF-Japanキャリアカウンセラートレーニングを修了し、学科・実技試験に合格することで資格認定手続きを行なえます。他の試験と比較して難易度は低めです。

取り上げた4つの試験は、基本的に3年以上の実務経験が求められるものです。新卒の場合取ることはできませんが、いずれ取ることを念頭に職業経験を積むことを目標にしましょう。

専門的な学校・学科はあるの?

人材紹介営業職に就くのに特化した専門学校や大学はありません。しかし、営業で役に立つ知識を学べる学校はあります。

例えば、専門学校ならばビジネスについて学ぶ学校、大学ならば経済学部・経営学部・商学部などが挙げられます。会社の経営に関する知識やマーケティング、財務や会計について学ぶことで、担当する企業の状況を把握するのに役立つためです。

人材紹介営業職に就きたいならば、明確なビジョンをもった学校選びが大事です。

人材紹介営業の年収・給与・収入

人材紹介営業の平均月収は、約20万円から40万円です。その他賞与などを含めると、年収は平均して約400万から600万円ほどになります。なかには1,000万円ほどを稼ぐ人もいます。

採用担当者と求職者との間でバランスを取りながら業務を行なうのは大変ですが、ふさわしいマッチングができれば自身の実績となり、収入もあがるので、人材紹介営業はやりがいのある仕事といえます。

人材紹介営業の社会のニーズ・将来性・まとめ

新型コロナウイルスの影響で採用そのものを控えるようになった企業もありますが、今後も企業の深刻な人手不足や、働き手の転職意欲の向上により、求人のニーズはますます高まるばかりです。

そのため、採用を考える企業と求職者の間に入り、最適な人材をマッチングする人材紹介営業の仕事は大変重要な仕事といえます。

仕事に取り組む際には、企業側の業務の課題や採用戦略を理解して、最適な人材を紹介する意識が必要です。求職者に対しては、転職支援の専門性をより高めて寄り添う姿勢が求められます。

最終的に採用企業と求職者のより良いマッチングができれば実績になりますし、その実績が将来の収入を増やすことにもつながるので、人材紹介営業職は将来性のある仕事といえるでしょう。

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