美容師の仕事
美容師は、カットやパーマ、カラーリングなど、顧客の要望に応じてヘアスタイルをセットアップするのがおもな仕事内容です。ヘアスタイリストと呼ばれることもあります。
サロンによってはヘアスタイリングのほか、メイク・ネイル・着付けなども行ないます。
仕事は顧客の髪の状態を確認することからはじまり、要望を確認したうえで最終的なヘアスタイルを決定します。
ここで顧客の要望と自身の認識にズレが生じるとトラブルになることもあるため、はじめのヒアリングのなかで顧客の要望をしっかりと汲み取るコミュニケーション能力が大事です。
そのあとカットやシャンプーなどの作業に進みますが、それぞれの作業をスタッフが分担しながら行なうこともあるため、スタッフ同士のチームワークが必要です。
新人のうちは、シャンプーやブロー、掃除やレジなどの作業を任されることが多いようです。
ヘアスタイルの技術やセンスはもちろん必要ですが、何より顧客を満足させることが最も重要です。顧客の好みや髪質、体型やお顔に合ったヘアスタイルを提供できることが大切といえるでしょう。
営業終了後に練習をすることも多く、夜遅くまで美容室に残る方もおられます。
定休日は店により異なりますが、月曜を定休日としている店舗が多いようです。土日は営業しているところがほとんどで、年中無休のお店もあります。
また成人式などの繁忙期は、営業時間外にも仕事をする場合があります。
美容師の就職先は多岐にわたり、結婚式やホテルのほか、メイクの知識が十分にあればデパートやドラッグストアの美容部員(ビューティ・アドバイザー:BA)や化粧品メーカー、福祉施設などさまざまな場所で活躍できます。
類似する職業で理容師がありますが、「美容師」と「理容師」は美容師法と理容師法により以下のように区別されています。
- 美容師……パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により容姿を美しくすることを業とする者
- 理容師……頭髪の刈込、顔そり等の方法により容姿を整えることを業とする者
一般的に理容室には男性客が多いですが、最近では美容室に通う男性客も増えています。
美容師になるには?
美容師として就業するためには、「美容師免許」が必要です。
美容師免許証は、指定の養成施設を卒業し美容師国家試験に合格後、申請することで交付されます。
美容師免許を取得していない人は、カットやパーマ、カラーリングなどの美容行為を仕事として行なうことはできません。
なお、理容師として働くためには「理容師免許」が必要です。
<美容師になるまでの流れ>
- 高校卒業後、指定の養成施設で必要な課程を修了
- 美容師国家試験受験
- 美容師免許を申請し、美容師名簿に登録
養成施設ではカッティングなどの技術の習得に加えて、関連する法律や制度、人体の構造や機能について、さらに美容に関する文化論・記述理論など美容に関する幅広い知識を修得します。
また、基本的には一日中立ったままでの作業となるため、体力も必要です。
さらに、美容師として大いに活躍するためには、流行の髪形やメイク、新しい技術などを積極的に取り入れ、日々アップデートをしていく向上心が大切です。
必要な資格
美容師として働くためには美容師免許が必須です。
美容師免許を取得するための美容師国家試験を受験するには、指定の養成施設で必要な課程を修了する必要があります。
美容師国家試験は年に2回行われ、筆記と実技試験が行なわれます。
- 筆記試験対象科目(令和3年度)……関係法規・制度、衛生管理、保健、香粧品科学、文化論、美容技術理論、運営管理
- 実技試験内容……第一課題「カッティング」、第二課題「セッティング」
受験料は、筆記実技両方の受験をする場合は25,000円、再受験で筆記か実技のいずれかだけ受験する場合は12,500円です。(令和4年時点)
令和3年度に行われた第45回美容師国家試験では、合格率が92.3%(受験者数18,536人)となっており、指定の養成施設で課程を修得さえすれば国家試験に合格するのは難しくなさそうです。
美容師国家試験に合格したあと自動的に免許が発行されるわけではなく免許を申請し、美容師名簿への登録をする必要があるため注意しましょう。
美容師免許取得後3年以上の実務を経たのち、所定の講習会の課程を修了することで「管理美容師」の資格を取得をすることが可能です。
管理美容師は、常時2人以上勤務している美容室に置くことが義務付けられており、将来独立をする場合には必須となります。
専門的な学校・学科はあるの?
美容師免許を取得するためには、都道府県知事指定の美容師養成施設を卒業する必要があります。
<通常課程>
- 昼間・夜間課程……2年以上
- 通信課程……3年以上
一部の養成施設では、理容師免許取得者を対象に修得者課程が設けられており、通常課程と比較して期間が短縮されています。
<修得者課程>
- 昼間・夜間課程……1年以上
- 通信課程……1年6ヵ月以上
美容師養成施設に通うためには、基本的には高校卒業が必要です。しかし、養成施設によっては最終学歴が中学卒業であっても、入所試験に合格し、指定の講習を受けることを条件に入学ができるところもあります。
高校を卒業していなくても、諦めずに入学可能な養成施設を探してみましょう。
高校卒業後、アルバイトなどで美容室に勤務をしながら通信課程に通う人も多いようです。
しかし、美容師免許取得前にカットなどの美容行為はできないため、掃除や洗濯、受付などの業務を行ないながら、目で見て先輩美容師の技術を学ぶことになります。
少しでも早く現場に出たい場合は、美容師免許不要のアルバイト募集を探してみるのもよいでしょう。
美容師の年収・給与・収入
美容師の年収や給与の平均は、以下のとおりです。
- 年収……324.1万円(出典:令和3年賃金構造基本統計調査)
- 給与……24.6万円(令和3年度ハローワーク求人統計データ)
勤務地や経験などにより手当やボーナスなどの待遇も変わるため、年収にはバラツキがあります。
より高収入を得るためには、歩合給を取り入れている美容室で、指名客を増やすなどの努力が必要です。
美容師の社会のニーズ・将来性・まとめ
美容師は今も昔も人気の職業であり、目指している人も多くいます。美容室も数多くありますが、客層や給料などは就業先により大きく異なります。
人気のサロンに就職するためには、優れた技術と高いセンスが必要です。将来、独立開業を目指しているなら、数多くある美容室の中で選ばれる店になるため、技術やセンスだけではなく独自性も必要です。
実際に他店との差別化のため、ハンドマッサージや頭皮マッサージ、フェイシャルエステなどを取り入れているところも多くみられます。
最近では少子高齢化にともない、福祉施設などに訪問する美容師の需要も増えています。今後のニーズとして高齢者向けのサービスの提供も考えていかなければなりません。
顧客に選ばれ続ける美容師になるためには、新しい情報を敏感に取り入れ、日々技術やセンスを磨く努力が必要です。
日々のアップデートやスキルのブラッシュアップ、さらには体力も必要な美容師。さまざまな努力を要しますが、あらゆる年代から必要とされるこの仕事に、大きなやりがいを感じる人が多い職業です。
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