コンシェルジュ

コンシェルジュの仕事

ホテルコンシェルジュは、宿泊客の要望や困りごとに対応する総合案内役です。

コンシェルジュのもともとの意味は、フランス語で「アパートを管理する人」というものでしたが、次第にアパートだけでなくホテルやマンションなどを管理する人に対しても使われるようになりました。

ホテルコンシェルジュは、国内だけでなく海外の宿泊客のあらゆる要望にこたえます。具体的には、観光地の案内や電車・車など交通手段の手配、緊急時の対応など幅広いものです。宿泊客の無理な要望に対しても、基本的には“ノー”と言わずに業務をこなすことが求められます。

ホテルコンシェルジュの仕事のやりがいには、お客様が喜んでいる表情を見ることや、お客様の希望を叶えられたときの達成感が挙げられます。

その他、ホテルを訪れる幅広い年齢層やさまざまな国籍の人と交流ができるのもやりがいの一つです。自身の経験を通して、ホテル業界でのキャリアアップを図れるのも魅力といえるでしょう。

ホテルコンシェルジュに向いている人の特徴は、大きく分けて5つあります。

①お客様の喜ぶ姿を見ることに生きがいを感じる人

自然な接客サービスを行ない、お客様が喜ぶ姿を見ることに生きがいを感じる人はコンシェルジュ向きです。

②努力できる人

突然の部屋の変更など、時にお客様が無理難題を申し出るケースがあります。

そのような要求に対して、心を乱すことなく淡々と業務をこなし続ける努力も必要です。

③気づかいとコミュニケーションが取れる人

ホテルには、さまざまなタイプの人が泊まります。お客様のちょっとした言動やしぐさから必要としている物事を読み取り、適切に案内する気づかいとコミュニケーションができる人はホテルコンシェルジュに向いているでしょう。

④情報収集が得意な人

おすすめの観光スポットやおいしい料理屋、子供と一緒に遊べる観光スポットの問い合わせなど、あらゆる要望に瞬時に答えられる引き出しの多さも求められます。

⑤体力のある人

ホテルコンシェルジュは、お客様の手配業務や要望に応えるために常に動き回る仕事です。体力勝負の部分があるので、スポーツをしてきた人は向いているといえます。

以上5つの特徴を挙げましたが、これらのことは実際にホテルコンシェルジュになってからでも十分に身につけることができる要素です。今は足りないと思っても、あきらめずに準備しておくことが肝心です。

コンシェルジュになるには?

新卒の場合は、ホテルの採用期間に合わせてエントリーし、会社の説明会に出席します。そのあと、面接・筆記試験などを経て採用されるケースが一般的です。なかには、インターンシップ制度を導入しているホテルもあります。

中途採用の場合、大手転職サイトなどの求人に応募し、数回の面接を受けて採用されるケースが一般的です。現在の観光業界は、異業種で働く人の採用を積極的に行なう傾向があります。なぜなら、社会人として他の業界で培った調整力や気配りなどの豊富な経験は、ホテル業界ではプラスに働く可能性が高いためです。

社会人としての経験がない新卒の場合、飲食業やアミューズメント施設などでの接客のアルバイトを経験することで大きなアピールポイントになります。

ひとえにホテルといっても、リゾートホテルやビジネスホテル、シティホテル、外資系ホテルなど種類はさまざまです。自分が入りたいホテルの特徴を知り、対策を取るようにしましょう。「複数のホテルから希望のホテルを選んだ理由」は、必ず聞かれる質問です。対策をしておけば、迷わずに答えられるはずです。

また、自分の経験してきた強みを、あらかじめ洗い出しておくことも面接対策となります。自分がどのようなコンシェルジュになりたいかの未来像を語ることができれば、採用担当者に深い印象を与えることができるでしょう。

採用試験には面接以外にも、一般常識テスト、作文試験を課すところが多い傾向にあります。普段から一般常識テストや作文に慣れておくことも必要です。

必要な資格

ホテルコンシェルジュになるための資格は特に必要ありませんが、あらゆる宿泊客の要望にこたえられる幅広い知識や情報、語学力は必須です。ホテルの近くに気になるお店がオープンしたら行ってみたり、観光スポットを巡ってみたりと実際に体験してみることで、宿泊客に生きた情報を提供できます。語学の勉強も英語だけでなく、中国語・フランス語など、他の言語も勉強しておくと、きっと役に立ちます。

また、ホテルの仕事について学ぶ「ホテルビジネス実務検定試験」や「ホテルマネジメント技能検定」といったホテルの実務検定試験もあります。コンシェルジュとしての知識を得たい人は勉強しておいても損はありません。

専門的な学校・学科はあるの?

ホテルコンシェルジュになるための専門学校や学科は、いくつかあります。

専門学校では、ホテル業界の勉強や一般教養、語学勉強や実習などを行ない、総合的に学びます。語学検定をはじめ、マナーやパソコン、手話に関する検定をサポートしている専門学校もあります。専門学校の学費は、平均して約120万円ほどが相場です。

大学の場合、専門的にホテルコンシェルジュに必要な知識を勉強する学部や学科はありません。しかし、経営や営業など、ホテル業界に求められる知識を得ることはできます。具体的には、観光学部や経営学部などです。学費は平均して約130万円ほどが相場です。

短期大学には、ホテルについて学ぶコースを設けているところもあります。なかには大手ホテルと連携してホテルでのビジネススキルを学んだり、インターンシップで実際の現場に行ってホテルのオペレーションスキルを学んだりする短期大学もあるようです。

ホテルコンシェルジュについて実践的に学ぶならば、専門学校で学ぶ方が最適といえます。一方で、ホテル全体を統括する管理職の立場として働きたいならば、大学で学んだことが役に立ちます。

コンシェルジュの年収・給与・収入

ホテルコンシェルジュの月収は平均して約18万円から30万円ほど、年収では約250万円から約400万円ほどです。平均的にそれほど高い金額ではありませんが、一般企業と同様、交通費や社会保険、住宅・深夜手当などの保証は付いていますし、年間の休日も意外にしっかりと取れるようになっています。傾向としては、平日の週休二日制を採用しているホテルが多いようです。

その分、休憩時間に急な対応があったり、超過勤務が続いたりと大変な部分も多いですが、お客様に感謝されることで、すべてが報われる仕事といえます。

コンシェルジュの社会のニーズ・将来性・まとめ

コロナ禍で国内旅行を控える人の増加や外国人観光客の減少により、ホテルの利用率が下がっています。しかし、人々の潜在的なレジャー志向やインバウンドでの海外観光客の旅行再開など、ホテルの需要は依然として高いものがあります。そのため、コロナの感染が落ちつくくとともに再び、ホテルの需要も高まりを見せるはずです。

また、国際会議での利用や展示会、コロナ陽性者の療養施設やワーキングスペースとして利用されるなど幅広い利用方法もあり、コンシェルジュの社会的ニーズは高まる一方です。

ホテルの形態もアートホテルやブックホテルなど新たなコンセプトホテルが続々と誕生しています。そのため、これからのホテルコンシェルジュは従来のホテルの概念にはない幅広い働き方を実現できる将来性のある仕事といえるでしょう。

確かなことは、どの形態のホテルでも、基本的にはお客様に喜んでほしいという気持ちが一番ということです。

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